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シャーマンへの道「14 六芒星起動」

 
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脳科学と心理学に精通し、16年間で1万人以上の相談にのってきたシャーマン。「信じる力は、世界を変える」がモットー。自分自身を信じる力・愛を受け取る力を育てる方法、激動の時代を乗り切る極意を教えている。 著書「なぜ眠り姫は海で目覚めるのか? 超ネガティブ思考を解除する3つのメソッド
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 鳥取の海岸はどこまでも砂浜が続いていた。
 重く垂れこめた雲が海と繋がり、銀色に光っている。
 わたしは見るでもなく、眼下の海を眺めた。
 

 海の向こうから漂着するさまざまなモノを寄りモノなどと呼ぶが、この場所は有形無形のさまざまなモノが打ち寄せてくる。うまく言葉で説明しづらいのだが、空の一部に時限の揺らぎというか、裂け目のようなものがあって、そこからさまざまなものが侵入してくる感じとでもいったらいいのか。それはまるでしわくちゃに折り重ねた和紙がひきつれて縦に引っ張られてできた巨大な目のように見えた。
 

 ふと海中に黄色い影が見えた。
 一瞬、亀だと思ったが、よく見るとどうやら渦状の巨大な玉のようだ。
 わたしは砂の上に降りた。
 

 水平線に目を凝らすと、いきなり突風が吹いた。
 波打ち際に立っていると、次々と押し寄せる水に足裏の砂が掬い取られてゆく。
 

 —– 龍を、起こせ
 

 胸の中に言葉が響いてきた。
 わたしは目を閉じると砂浜に手を触れ、金龍、白龍、黒龍(双龍)、三輪大神、太陽神、弁天神、これまでご縁をいただいてきたすべての神と共に祈った。
 

 海中に沈んでいた黄色い玉が膨れ上がったかと思うと、巨大な黄色の龍が現れた。
 さらに透明な水が砂浜からこんこんと湧き出し、それはみるみるうちに金色の光になって砂浜と海と空に広がっていった。
 

 意識が肉体に戻ると、目を開けた。見慣れた自室の壁や床だ。
 

 いまのは一体なんだったんだろう・・・・・?
 ちょっとへんだと思いつつ立ち上がると、ズボンの裾から海の匂いのする砂粒がパラパラと畳に落ちた。
 

 わたしの感知する世界で尋常じゃないことが起きていた。
 いてもたってもいられない強い思いに突き動かされるように意識を飛ばして白龍と共に指定された場所に行って祈る。鳥取についで、宮城、鹿島、土佐と三か所に行き、龍を起こす。それぞれの約束された要の地の龍神たちが目を覚ましてゆく。
 

 次は神津島だ。
 白龍と一緒に神津島の霊峰天上山の山頂に着くと祈った。
 その瞬間、真っ白い輝きを放つ巨大な光の玉が現れた。
 

 えっ・・・・?
 

 その玉はいまさっきまで一緒にいた白龍そのものだった。
 全身から力が抜けそうになった。でも途中でやめるわけにはいかない。
 白龍の玉を天上山に入れる。
 次の瞬間、轟音と共に巨大な白龍が降臨した。
 

 肉体に意識が戻ってくると、どっと疲れがでてきた。
 もう無理だ。
 これ以上できない。
 白龍が一緒にいたから慣れない神事でもなんとかやってこられたのだ。でも白龍は神津島であれの一角を担っている。この先、ひとりでどうしろというのか。
 わたしは泣きたくなった。
 

 すると禍津神の封印解除のときに降りてきた一筋の光がまた胸の中に差し込んできた。
 

 ―― 自分の羽根を使え。結界を完成させよ。壱岐にてツクヨミと会え。
 

 羽根? わたしには自分の羽根がある? 
 自分の羽根があるのなら、自分で飛んで壱岐まで行くことができるかもしれない。もちろん羽根は比喩だ。
 心は半分折れかけていたが、気力を奮い起こした。
 

「〇〇!」
 

 思った以上に自分の自由意思で肉体を離脱することができるのに驚きつつ、そこででとある神霊に会って、橙色の玉をもらい受けた。最後の一角を作るのに必要な玉だ。最後の一角がどこなのかはわかっていた。橙色の玉を封じると、金龍が現れた。これで六角のすべてが完成した。
 

 だがここで終わりではなかった。六芒星の中心に何かを入れる必要があるのはわかっているのだが、何を入れていいのかわからなかった。金龍も白龍もすでに六芒星の一角を担っていて、頼ることはできなかった。
 

 どうしたらいいんだろう・・・・?
 

 ―― 鳳凰をよべ
 

 鳳凰・・・・? 鳳凰・・・って・・・?
 

 その言葉を胸の中で反芻していたが、不意にわたしはすべてを理解した。
 それはわたしだ。
 

 六芒星の真ん中に入る。
 そして祈る。
 すべての龍の心を感じながら、すべての愛しいものたちの幸せを感じながら。
 
 

 ・・・・・ともにあられよ。
 

 その瞬間、腹部を中心に巨大な六芒星のエネルギーの渦がぐわっと左回りに回転し始めた。
 体が軽くなる。
 

 六芒星の渦は日本列島を超え、地球を超え、遥か宇宙に広がってゆく。
 遥か彼方の異星の風景、地球ができる姿、人類の歴史、未来の姿、様々な情景が一瞬の邂逅のように観えた。どこまでも透明で静かな意識が広がってゆく。
 

 一瞬は永遠。
 すべてがわたしの中にあった。
 ああ・・・・そうだったのか。
 

 突然、雷鳴がとどろいた。
 バケツをひっくりかえしたような雨の音が聞こえる。
 意識はもう通常に戻っている。
 

 立ち上がって、窓の外を見ると豪雨だった。
 もう悲しくはなかった。
 白龍も金龍もすべてのものが光となって自分の中にあった。
 
 雨はほんの10分ほどで止んだ。
 
シャーマンへの道「15 それ」につづく)
 
2015年9月

 

【シャーマンへの道シリーズ】
シャーマンへの道「1 やりたいこと」
シャーマンへの道 「2 エネルギーの使い方」
シャーマンへの道「3 宮古島」
シャーマンへの道「4 ユタ」
シャーマンへの道「5 ウハルズの謎」
シャーマンへの道「6 白龍」
シャーマンへの道「7 決断」
シャーマンへの道「8 禍津神の封印」
シャーマンへの道「9 暗黒龍王」
シャーマンへの道「10 心の暗黒面とフォーカシング」
シャーマンへの道「11 天河弁財天」
シャーマンへの道「12 大神神社と土砂降りの雨」
シャーマンへの道「13 「意識を飛ばす 竹生島弁財天」
シャーマンへの道「14 六芒星起動」
シャーマンへの道「15 それ」
シャーマンへの道「16 『それ』の本当の意味」
シャーマンへの道「17 そして、神がみえなくなった」

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