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シャーマンへの道「3 宮古島」

 
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脳科学と心理学に精通し、16年間で1万人以上の相談にのってきたシャーマン。「信じる力は、世界を変える」がモットー。自分自身を信じる力・愛を受け取る力を育てる方法、激動の時代を乗り切る極意を教えている。 著書「なぜ眠り姫は海で目覚めるのか? 超ネガティブ思考を解除する3つのメソッド
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なぜ宮古島かといえば、朝起きたら「宮古島」という言葉が胸の奥からあふれてきたとしか言いようがない。わたしが小説のネタを探すときはいつもそうなのだ。というわけで2002年1月、わたしは木枯らしの吹く東京をあとにした。
 

 
 宮古諸島は沖縄本島から飛行機で南西へ50分ほど飛んだところにある。いちばん大きな宮古島を中心に伊良部島、下地島、池間島、来間島、大神島、さらに宮古島からRACで20分の多良間島、そのすぐそばにある水納島からなっている。2002年当時は宮古島との間に橋が架かっていたのは池間島と来間島だけだったが、いまは伊良部大橋ができて伊良部島も宮古島とつながっているらしい。
 

 1月とはいえ宮古島は汗ばむような陽気だ。空港の外に出ると湿った土と花の匂いが鼻先をかすめる。わたしは目の前に停まっていたタクシーに乗ると、まずは宮古島と池間大橋でつながっている池間島を一周してもらうことにした。タクシーの運転手の観光案内を聴きながら窓の外を観ると、どこまでも透明で鮮やかなエメラルドグリーンの海が広がっている。宮古島には川がないので海に土砂が流れ込まない。そのため宮古の海は石垣島や沖縄本島などとくべると、その透明度や青さが際立っているように感じる。
 

 なんとなく池間島が気になって、翌日路線バスに乗って池間島に行くことにした。自分でも何が気になっているのかよくわからないんだけど、とにかく行ってみることにした。
 

 池間大橋のたもとでバスを降りて、漁港を通り過ぎ、海岸沿いの道をひたすら歩きまわって、ようやく水浜広場に戻ってきたときだった。
 すでに傾きかけた陽射しが穏やかに東シナ海を照らし、あたりにはほとんど人影もなく、島のオジィが公民館のそばで片付けをしているだけだった。
 

 わたしは歩き疲れて防波堤に寄りかかったまま、ぼんやりと海を眺めていた。
 その時、ふとに誰かに呼ばれたような気がした。
 次の瞬間、わたしを呼ぶ主のいる場所に行きたいという強烈な思いが胸の奥からこみ上げてきた。まるで突然誰かに恋したみたいに、居ても立ってもいられないほど強い衝動に駆られたのだ。
 感じるほうを見ると、防波堤の下の砂浜の右手に大きな岩があった。
 

 わたしは防波堤を乗り越えて浜に下りると、その岩のほうへ走っていった。
 息をきらしつつ岩の前にたどりつくと、熱くて強いエネルギーが呼びかけてくる。
 意識をひらくと、まるで岩の中に光源でもあるかのように、その暖かさは強さを増してどんどんひろがってゆく。
 

 突然、胸の中で何かがはじけた。
 次の瞬間、わたしの体と世界の境界がなくなり、膨大なエネルギーが流れ込んできた。
 同時に不思議な光景が肉体の中に広がってゆく。
 

 エメラルドグリーンの海が広がり、真っ白い砂浜に透明な波が打ち寄せる。
 沖合いから真っ白いサバニに似た小船が近づいてくる。そこには白い服を身にまとった男女が乗っていた。
 神話時代のそれのように、女は長い髪を頭のてっぺんで結い上げ、胸に美しい勾玉を下げている。男は頭の両側で長い髪を束ね、腰に大剣を帯び、やはり胸に勾玉を下げている。小船は揺れもせず、ふたりともゆったりと立ったまま、近づいてゆく島影を見つめている。
 

 やがて小船は波打ち際に止まった。
 穏やかな波がちゃぷんちゃぷんと音を立てる。
 まず男が最初に降りた。
 次に男に手をとられて女が浜に降りた。
 
 

  ――コ・イ・ツ・ノ
 
  
 突然その言葉が閃いた。
 

 コイツノ・・・・?
 

 気がつくと、わたしは砂の上に膝をついていた。
 そのとき急にこの場所で線香をあげたくなった。
 

 当時のわたしは人の未来がわかったり、その人の持つエネルギーの質を読み取ったり、人間以外の存在の意識をキャッチすることはよくあったが、線香をあげて祈るスタイルはとったことがない。まして「わたし」の中に人物の息遣いまで感じるような情景が広がり、それを観ているという経験もはじめてだった。
 

 でもこの岩は香をたくことを強く望んでいるように感じた。
 けれどもしここが島のひとにとって大切な場所なら、島外の人間が勝手なことをしてはいけない。そう思いながらも、胸の奥からこみ上げてくる強い思いにはあらがえなかった。 
 
 
 わたしは覚悟を決めた。  
 翌日平良市内の雑貨屋で線香と酒を買って、もういちどこの場所にきて線香をあげて祈った。
 

 宮古島にきてからおかしなことばかり起きる。
 伊良部島ではタクシーの運転手に案内されていった先の古墳で白骨を発見してしまって、そこでも線香をあげて祈る羽目になるし、いろいろありすぎて書ききれないくらい。そもそもシャーマンをやっているにも関わらず、特別なスピリチュアルには興味がないし、創作活動がすべてだと思っていたわたしにとって、宮古島での出来事はどう受け止めていいのかわからなかった。
 

 東京に帰る当日の朝、ひょんなきっかけで宮古島に住むユタに観てもらうことになるのだが、そのときとんでもないことが起きた。
 
 (シャーマンへの道「4 ユタ」につづく)
 
2015年9月
 

【シャーマンへの道シリーズ】
シャーマンへの道「1 やりたいこと」
シャーマンへの道 「2 エネルギーの使い方」
シャーマンへの道「3 宮古島」
シャーマンへの道「4 ユタ」
シャーマンへの道「5 ウハルズの謎」
シャーマンへの道「6 白龍」
シャーマンへの道「7 決断」
シャーマンへの道「8 禍津神の封印」
シャーマンへの道「9 暗黒龍王」
シャーマンへの道「10 心の暗黒面とフォーカシング」
シャーマンへの道「11 天河弁財天」
シャーマンへの道「12 大神神社と土砂降りの雨」
シャーマンへの道「13 「意識を飛ばす 竹生島弁財天」
シャーマンへの道「14 六芒星起動」
シャーマンへの道「15 それ」
シャーマンへの道「16 『それ』の本当の意味」
シャーマンへの道「17 そして、神がみえなくなった」

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