無意識と意識 1わたしたちは無意識プログラムに支配されてる?
人間の潜在意識と顕在意識には役割に明確な違いがある。
昨日読んだディヴィッドイーグルマンの「あなたの知らない脳」という本にのっていた事例が面白い。以下、
前向性健忘症のひとは新しいことを覚えられない。それどころか、昨日初めてテトリスをやったことすら覚えていない。にもかかわらず、翌日テトリスをやると明らかに昨日よりも上達しているという。つまり昨日のテトリスで学んだ経験は潜在意識の領域に蓄積されて生きているのだ。ただ潜在意識に蓄積された経験に対して、顕在意識の側がアクセスできないだけだ。ちなみにテトリスで勝つにはこれは問題にならない。
この事例は多くのことを教えてくれる。
私たちは意識的な学習よりも、無意識の学習から得るもののほうが多い、いや、私たちの感情や思考、行動、感覚、イマジネーション、直感など、すべての動きはこの無意識の学習というプロセスを土台にしている。身近でわかりやすい例は子どもの歩き方や笑いかた、親と同じ言語をしゃべりだすプロセスだ。あれは意識的に学習しているわけではなく、無意識に親の行動のすべてから学びとっているのだ。
ここで無意識(潜在意識)プログラムについてちょっと整理しておこう。
ここでいう無意識(潜在意識)とは、内蔵の動きを担当する自律神経、ヤカンを触って熱いと感じる感覚器、それを受けて手をひっこめる動きを伝達する運動神経はもちろん、内分泌系、ホルモン系、内臓、筋肉、骨格、さらには脳内に集積された膨大な記憶とそれとセットでファイルされている五感・感情・思考・イメージといった私たちの体と心の99パーセントを占めるシステムのことだ。
私たちの感情や思考とそこから生まれる行動の大部分はこの無意識プログラムに支配されていて、通常、顕在意識にはこのプログラムの核心部分にアクセスすることができない。無意識プログラムの重要な中枢は脳だ。脳はまだまだ解明されていない部分がたくさんあるが、それでも面白い事実がわかってきている。そのひとつは多様性だ。
例えば新年会の恒例じゃんけん大会でいまからじゃんけんをするといったシチュエーションを想像してほしい。このとき私たちの脳内の無意識プログラムがいっせいに動きだして反応し始める。
①絶対勝つ
②勝てたらラッキー
③忘年会で勝っているから今回は負けておこう。
じゃんけんという状況を前に、上記3ヵ所で3通りの反応がでる。これが脳の多様性だ。顕在意識を働かせて意識的に3つの選択肢の中から好きなスタンスを選ぶ場合もあれば、無意識プログラムのいちばん優勢な番号に支配されたまま自動的に手を動かす場合もある。
顕在意識の役割は目標設定をすることであり、無意識プログラムに命令をすることなんだよね。じつは平穏で安定した日常生活を送れるなら顕在意識ががんばらなくても、日常のほとんどを無意識プログラムがやってくれる。
たとえば、
お腹が空いた→今日は何を食べようかな→鍋料理が食べたいなあ→じゃ材料を買っていこう→買い物をする→帰宅して野菜を切る
一連の流れはすべて無意識プログラムの支配下にある。もちろん顕在意識は空腹感や何を選ぶかといった思考を自覚はしているんだけど、鍋料理が食べたいという気持ちは無意識プログラムが今日の内臓や筋肉の疲労度合いなどの詳細な情報を顕在意識がアクセスできない領域で自動的に計算された結果なのだ。そういった意味で日常のほとんどは無意識プログラムに支配されているといえる。
じゃあらためて顕在意識(意識、意志)の役割を考えたとき、これがいちばん必要で、かつ大活躍する場面は、不測の事態が起きたときだ。
(つづく)
無意識と意識 1わたしたちは無意識プログラムに支配されてる?
無意識と意識 2不測の事態
無意識と意識 3無意識プログラムとフェルデンクライスメソッド
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