神功皇后」タグアーカイブ

プロメテウスの火

 ところで神功皇后が封印した十拳剣の剣とは何だったんだろう?
 

 未知の兵器、アーク、あるいは霊的なエネルギーを操作するときに使う神事用のツールなど、考えようとすればいくらでも考えられる。それが何だったのか、いまとなってはわからない。ただそれは政治的あるいは物理的な意味もふくめて、日本列島をバラバラにする力をもっていたのだろう。
 

 たまたま友人がおもしろいことを言っていた。
「日本列島って、フォッサマグナやら中央構造線やらがひしめきあっていて、大きな地殻変動があれば四方八方に引き裂かれるって話もあながち笑い話じゃないけど、それよりももっと現実的にばらばらになる寸前だった時期があったよね」
 

 彼女が言っているのは、第二次世界大戦直後、当時敗戦国だった日本をロシアとアメリカが分割支配するという話になったときのことらしい。ちなみにそれを止めたのはマッカーサーだった。もしそれが実行されていたら、今頃日本は東西ドイツ、あるいは南北朝鮮のような状態になっていたかもしれない。
 
 
 ギリシャ神話にプロメテウスの火というのがあるよね。
 神の一族であるプロメテウスは人間に神々の叡智の象徴である火を与えた。ところがそれを知って怒ったゼウスは、プロメテウスをカウカソス山の山頂に貼り付けにし、生きながらハゲタカに肝臓をついばませるという残酷な罰を与えるという話だよね。
  

 十拳剣とは、プロメテウスの火だったんじゃないだろうか。
 正しく使えば、人類に幸福をもたらすけれど、誤った使い方をすれば死と破壊をもたらす力。
 すでに人類はそのひとつを手にしている。
  
 

続きを読む

古代幻視 3 神功皇后

  記紀においては神功皇后にまつわる物語はかなり詳しく取り上げられているにもかかわらず、歴史家たちの間ではその実在は長いこと懐疑的にあつかわれてきた。
神功皇后は息長帯比売(おきながたらしひめ)とも呼ばれ、仲哀天皇の后にして、第15代応神天皇(誉田別命 ほんだわけのみこと)の母。シャーマンでありながら政治的な手腕にもすぐれた女性として描かれているんだよね。
 

 神功皇后は北陸から日本海ルートを通り、ひと足先に熊襲征伐のため瀬戸内海ルートで九州に赴いていた夫の仲哀天皇と合流する。ところが一行が筑紫の香椎宮に滞在中、神功皇后に神託が降りる。
 

「海の向こうに金銀財宝の豊かな国があるので、その国をそなたにやろう」
仲哀天皇はそれを聞いて、そんな国は見えないといって、琴を弾くのをやめてしまう。(注:ここで琴を弾くのは后の神懸りをたすけるためで、それは夫である天皇の役目)
 

 同席していた建内宿禰が神罰をおそれて、天皇に琴を弾くように進言すると、天皇はふたたび琴を弾き始めたものの、突然琴の音がとぎれ、天皇はその場で崩御してしまった(これは古事記だけど、日本書紀では一書に曰く、弓で腹を射抜かれて崩御したという記述もある)。
 

 天皇が崩御すると、神功皇后はすぐさま熊襲を平らげ、神託どおり朝鮮半島の新羅に渡る。彼女の神威をきいて、新羅の王は戦わずして臣下にくだる。帰国すると息子の誉田別命を立てて大和に戻ろうとするんだけど、彼の異母兄弟にあたるふたりの皇子と皇位をめぐって争いになる。
 

 神功皇后は海路大和に向かいつつ、霊力と策略をふるに生かしてふたりの皇子を打ち破り、大和に凱旋する。誉田別命は応神天皇として即位し、彼女は摂政として君臨し、100歳で没する。
 

 とまあ、見事なスーパーウーマンぶりなんだよね。それがよけい実在性を疑われる理由にもなっている。さらに神宮皇后の子供である応神天皇の父親は誰かという疑惑もある。仲哀天皇の崩御直後に懐妊していることがわかり、10月10日ぎりぎりで応神天皇を産んだため、父親は建内宿禰じゃないかなどとワンドショーなみの不倫疑惑もあったりして、いまだに結論はでていない。
 

 個人的には神功天皇は実在すると思っている。これは確信。父親も建内宿禰ではなく、仲哀天皇に間違いない。
 ただしわたしの見たものは記紀の記述とはちょっと違うので、主観をいれずに見えたものだけを書いてゆくね。
 

続きを読む

古代幻視  神功皇后

彼女は、一瞬立ち止まった。
目が暗さに慣れるまで少々の時間が必要だったからだ。
だだっ広い屋形のなかは暗く、すべての入り口に板が打ち付けてあるのだろう。彼女の背後の開け放した入り口から、庭先の光がわずかに差し込んでいるだけだ。
 

乾いた干草と土くれの混ざったような匂いがどこからか漂ってくる。
彼女は重い鎧をつけたまま、だまって部屋の奥に向かった。
そこにはひと目で高位の出自とわかる男が静かにすわっていた。
 

だが男には首から上がなかった。
男のひざのすぐ横に頭髪をミヅラに結った首がぽとんと落ちている。かつては鋭い眼光でひとを射すくめたであろう瞳も、穏やかにとじられたまま何も語ろうとはしない。すっかり干からびた皮膚は、すでにこの世を去った者の残骸に過ぎなかった。
 

彼女はじっとそれを見つめた。

続きを読む