16年前に視たある光景がわたしの人生を変えた① 「はじまりはユリの匂い」
はじまりはユリの匂い
与那国島の海底に古代遺跡があるという話を聞いたことがあるだろうか？
話は16年前にさかのぼる。
いまでこそ自他とも認めるアウトドア派のガテン系だけど、当時のわたしはそうではなかった。まだ霊感の赴くままに神社や山岳地帯を歩きまわる、ごく普通のシャーマンだった。
ところがあるとき、不思議な光景を見た。
いつものように祈っていると、突然目の前にエメラルドグリーンの海が広がった。当時は祈りや瞑想をしていると、体感をともなったイメージが降りてくることがよくあった。そのときもそうだった。
わたしはいつの間にか白い砂浜に立ったまま、どこまでも続くエメラルドグリーンの海を見つめていた。背後には青々とした牧草におおわれたなだらかな丘が続いている。あたり一面に甘い匂いが漂っている。
・・・ユリ？
不意にアングルが変わった。眼下に見下ろすエメラルドグリーンの海はやがてコバルトブルーの海へと続いている。砂浜の背後の丘には白いユリの花が風に揺れていた。その景色を見ながら、なにか懐かしい気持がこみあげてきた。わたしはこの場所をよく知っている。その思いは確信に近かった。
次の瞬間、わたしは自宅の和室に戻っていた。
幻視……。
数日後、パソコンをあけたとたん、祈りのときに見た光景がパーッと広がった。
与那国島だ！ そう思って、検索するとビンゴ。
与那国町の花がテッポウユリだったのだ。
その二日後にはわたしは与那国島に向かう飛行機の中にいた。突然降りてきたリアルな映像の何がひっかかるのかわからない。でも、なんていうか、心だけが島に行ってしまったような感じなんだよね。
与那国島といえば日本最西端の島、故ジャック・マイヨールが愛した海、琉球大学の木村教授の説によれば海底遺跡が眠っている海というイメージしかない。なによりもアクセスの悪さといったらこのうえないのだ。羽田から那覇を経由して石垣島まで飛び、さらにプロペラ機で20分ほど飛んでやっと与那国島に到着だ。当時はこのプロペラ機もちょっと風が強いと、よく欠航になっていた。
島に到着するとさっそくレンタルバイクを借りて、島をあちこち回ってみた。10月だったのでユリの花は咲いていなかったけれど、海は幻視でみた海そのままだった。でもなにかが足りない。自分は何を見落としているんだろう？
それを発見したのはいよいよ滞在も残すところあと2日になったときだった。
夕飯を食べ終えて、自室に戻ろうとして階段を上がりかけたときに、ふと廊下に貼ってあったポスターが気になったのだ。ポスターには与那国島の海底遺跡の写真が大きく映っていて、その横にグラスボートの料金が書いてある。
え？ グラスボートで遺跡がみられるの？
それまで海底遺跡はダイバーしか見ることができないと思っていたので、わたしには遠い世界の話だと思っていたのだ。偶然とはいえ、この時泊まった宿はダイビングショップが経営しているホテルだった。いま思うと、偶然じゃなくて必然だったのかもしれない。
さっそく宿のオーナーのＴさんに訊いてみた。ところがその日は運悪く、整備のため船を陸にあげてしまったらしく、グラスボートは乗れないとのこと。
残念・・・と思っていたら、Ｔさん曰く、
「キョーコさん、グラスボートで遺跡を見るなんてチャチなことを言ってないで、潜ってじかに触ってこようよ」
「えーだって、わたしダイビングなんてしたことないよ」
「うちでCカード取ればいいよ」
「わっ・・・わたしにできます？！」
「できる。できる。キョーコさんぐらいのパワーと根性があればだいじょうぶ」
なんの根性だ・・・と思いつつ、年明けなら飛行機のバースディー割引を使えば安く来れるな、なんて頭の中で考えているうちに、いつのまにかすっかりその気になってしまった。ずっとなにか大切なことを忘れている気がしていたけれど、このときわかった。それは海底遺跡だった。
というわけで、それから二か月後の2003年1月、生まれてはじめてのスキューバダイビングをするためにわたしは与那国島に飛んだ。
☆ ☆ ☆
この先は当時のわたしが書いた人生初ダイビング体験記を何回かにわけて、アップするね。なんせ16年も前に書いた文章なのでお恥ずかしい限りなんですが、リアルタイムでわたしが何を感じたのか伝わると思います。
16年前に視た光景がわたしの人生を変えた② 「チャレンジ」につづく
2019年4月23日
【ブログ内参考記事】
16年前に視たある光景がわたしの人生を変えた① 「はじまりはユリの匂い」
16年前に視たある光景がわたしの人生を変えた② 「チャレンジ」
16年前に視たある光景がわたしの人生を変えた③「解放された、その先にあったのは」
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