神話を超えた先
物語が書けなくなってからもう十数年立つ。
昨年の秋、一度書こうと思った時期があるんだけど、やぱり書けない。
物語というのは言ってみれば、連綿と脈づく血の歴史の一端を担う個人の神話なんだよね。
誰にでも物語が必要な時期というのは確かにあって、まだ自我が確立していない若いひとたちが自分自身を見出す過程で物語が大きな助けになる。また自我が確立して、ひととしての自己実現を終えた中年期から老年期に差し掛かるひとたちにとっても、あらたな地平をひらくためにはより大きな枠組みでの神話が必要になる。
その先は?
神話を超えてしまったその先はただ白が広がっている。
歴史の一端として生きながら、同時に連続した時空を超えた刹那を生きる境地。
そこに物語はない。
地上で得た名声やモノはそれ以上でもそれ以下でもない。
名を忘れ、無名の自分だけがいる。
一瞬と永遠が重なり、俗と聖が混ざりあう。
人生に意味などないと笑い飛ばしてしまうしかない。
けれど重力にとらわれた人間にはそれすらも一瞬の夢。
足の裏の、その遥か彼方の大地の奥で、それがかすかに動くたびに足元が揺らぐのがひとなのだから。
そしてわたしもまたそのひとり。
それは命の源であり、すべてを消し去るタナトスでもあり、この世界を形作る原初のエネルギーそのものだ。その揺らぎと同期してしまったら、あらん限りの力でこの世界との接点である大地の切れ端を掴み、ただすべてを受け入れるしかない。
大きく息を吐く。
世界が呼吸する。
Who are you?
ただ、ここにいる。
2015年5月19日
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