災害時の心理とおすすめ本
多くの方は、311の東日本大震災以降のカンちゃんやTデン・保安院の言動、さらにはふつうの人々の反応を不思議だと思ったことが一度くらいはあるんじゃないだろうか?
とても静かに、飼いならされた羊のような行動があちこちで見受けられる謎。初期の頃、諸外国の人々はそれを見て日本人の美徳に驚いたという報道もあったくらいだ。
じつは日本人だけが特殊なわけではない。
災害時の心の動きというのは人類共通で、三つの段階を移行してゆく。
簡単に説明すると、テロ・地震などの災害が起きると、最初は誰でも日常の想定を超えた現実を受け入れることができず、「否認」といって、目の前の事象を過小評価したり、誤ったリスク判断をおかしやすい状態になる。この段階がどのくらい続くかはとても個人差が大きい。「否認」の状態を過ぎると「思考」の段階に入り、「決定」がなされ、行動を開始する。
つまり移行がスムーズに働けば、
「否認」 → 「思考」 → 「決定」
という心の動きになるんだけど、すべての人が必ずしもこの三段階をスムーズに進むわけじゃないんだよね。ひとによっては「否認」の段階で長いこととどまっている場合もままある。災害時にスムーズに否認から思考の段階に移行できるかどうかは、脳がどのように情報処理をするかにかかっている。
どういうことかというと、脳の反応を大きく分類すると、「直感的システム」と「分析的システム」に分けられえる。
「直感的システム」は脳の本能的な衝動にちかく、それまでの経験値やイメージからくる感情に左右されやすい。一方の「分析システム」は論理的で現実的であり、災害時に現実的に行動できるひとの多くが、直感システムよりも分析システムのほうが優位に働く。 ちなみにここでいう直感システムはトレーニングされた精度と正確度の高い直観とは本質的に違うのでご注意を。
じゃ災害時あるいは日常生活のなかで、目のまえの現実から目をそむけずに、より現実的に行動するにはどうしたらいいだろう?
それには日頃から、感情に飲み込まれずに、客観的に物事をとらえることができる視点を育てておくといい。サイコシンセシス(統合心理学)ではこの視点を「セルフ」とよぶ。
セルフを育ててゆくと緊急時には暴走しそうになる感情をあるがままに受け止めることができるようになるので、エネルギーを最小限に押さえ、冷静で論理的な思考を働かせる余力を生み出す。
さらに感情からくる直感ではなく、より高次の叡智からくる精度と正確度の高い直観 を使いこなせるようになる。さらにあらゆる可能性を想定した避難訓練、あるいはリスク管理をきっちり行っておくことで、万が一何か起きたときに、自分だけではなく、大切な人を守れる可能性がぐっと広がる。
災害時の誰にでも共通する心の動きを知っておくと自分自身の心の動きを客観視しやすくなるし、「否認」に陥った他者を責めるのではなく、どういう形でかれらを手助けしたらいいのか考えることもできる。なにより心のトレーニングも含めて、事前に対策を立てることができるようになるよね。これがいちばん大きい。
というわけで本日はおすすめ本を二冊。
一冊目は2009年に出版されたアマンダ・リプリーの著書
生き残る判断 生き残れない行動
二冊目はこちらも2009年に出版されたエリオット・アロンソン、キャロル・タヴリスの共著
なぜあの人はあやまちを認めないのか
個人的におすすめ本ベスト10に入る二冊です。
(2011.5.17)
★白鳥澄江の著書
なぜ眠り姫は海で目覚めるのか? 超ネガティブ思考を解除する3つのメソッド
★白鳥澄江の新刊はこちらから、1章丸ごと立ち読みできます
「なぜ眠り姫は海で目覚めるのか?~超ネガティブ思考を解除する3つのメソッド」
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