海から生まれた宝物
日本海の冷たい波が押し寄せるビーチを歩いていると、透明な水の中にきらりと光る石が見つかる。
翡翠の原石だ。
糸魚川では波打ち際を歩いていると、よくこんな光景に出くわす。
日本海にそそぐ姫川の支流である小滝川には翡翠の原石がごろごろ転がっているんだけど、それが川底を転がり、やがて海に運ばれる。重たい原石はいったんは海底に沈み、嵐の翌日は大波にのって砂浜に流れ着く。
だからこそ古代の人々は翡翠は水から生まれると信じていたという。
古代からこよなく愛される翡翠は幸運を呼ぶ石だよね。
もともと翡翠はプレート境界などの高圧がかかる条件下でしか作られないため産出量が少なく、有名なのは糸魚川、ミャンマーのカチン高原、グアテマラのモタグア渓谷、ロシアの西サヤン山脈などで、これらごく限られた地域でしか採れない。
おどろくなかれ。
世界最古の翡翠文化はじつは糸魚川なんだよね。北は北海道から南は沖縄まで、日本各地の縄文から弥生、古墳時代の遺跡から発掘される翡翠の勾玉や大珠はことごとく糸魚川産。どうやら古代から糸魚川ブランドは高価な交易品として、各地の有力者にとっては憧れの的だったらしい。ちなみに紀元前1500年の古代マヤも翡翠を大切に扱った国のひとつだ。
もちろん糸魚川以外にも兵庫や埼玉など翡翠が産出される場所はあったにもかかわらず、糸魚川産の翡翠が流通していたのは、糸魚川一帯の研磨技術が優れていたかららしいんだよね。
これはどういうことだろう?
糸魚川を流れる姫川沿いには糸魚川ー静岡構造線が走り、この構造線を境に日本の地質は東西でまったく異なった様相を見せる。こういう特殊な条件下で良質な翡翠が取れたこと、さらに北アルプスの造山活動によってできた蛇紋岩など磨製石器にはうってつけの良質な石が算出したことが糸魚川を古代最大の翡翠王国に育てた要因ではないかといわれている。
5世紀の蘇我氏の衰退と時期を同じくして翡翠文化は日本から忽然と消え失せる。それから1500年近くの時を経て、昭和13年、ふたたび糸魚川の翡翠が人々の意識にのぼり始める。
てなわけで、糸魚川の翡翠の魅力を語り始めるときりがないね。
来年の3月には新幹線も開通して、東京ー糸魚川間がたった2時間で行けるようになる。
いまは往時の面影はなく、普通の日本海側の町だけど、日本を東西に分断するフォッサマグナの持つエネルギーは強烈なものがあって、たしかにシャーマンが持つ翡翠の産地だと思わず納得してしまう。
あ、ここはカニが美味しい。
それだけでも行く価値ありだよ。
2014年11月14日
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