バタフライ効果
昨日、子供の小学校のPTA関係の友人から電話があった。
「例の件、総務内で話し合ったんだけど、やっぱりほとんどのひとは心理学なんて興味ないと思うという意見が大半で、実現は無理かもしれない」
じつは昨年の秋、学校でフォーカシングの勉強会をやろうという提案をしたのだ。
五年生のクラス内の人間関係だったり保護者の社会性の低さだったり、いろいろな問題があって、直接校長とゆっくり話をする機会があった。その話し合いのなかで、この提案を持ちかけたのだ。
どこのクラスにも問題を抱えた親子はいる。
でも周りの子供たちがそれを受け止められる心の幅をもてば状況は違ってくる。
子供たちがそういう受け止め方をできるかどうかは親によるところが大きい。
親自身がすこしでも自分の心と向き合うことができれば、親子関係も変わってくるし、それに伴って子供の心も安定してくる。
そうすれば子供たちの人間関係に幅ができる。
それが結果的にクラス全体の空気を変える。
自分の子供でなくとも、つらい気持ちで生活している子がいれば、周りは様々な形で影響を受ける。なんたって人間関係は化学変化みたいなもので、お互いに影響力をもっているからだ。
だから他人の子供であっても、決して自分の子供とは無関係ではない。
まして問題の子は一時期うちによく遊びに来ていた。
肉体的な虐待は受けているかどうかわからないが、精神的にはかなりきつい状態でいるその子の心のうちを思うと胸が痛くなる。
その子の親を変えることはできないけれど、クラスの親たちの気持ちが少しでも安定してくることで、まわりまわって、きっとその子の力になるはずとの思いがあった。そしてそれが最終的にはわが子の笑顔を守ることにも繋がると思うのだ。
そうした状況のなか、自分に何ができるだろうと考えたとき、心理カウンセリングの自分と向き合うためのセルフケアのひとつにフォーカシングという方法があるのだが、そうした具体的なノウハウをひとりでも多くの保護者に伝えることだと思った。もちろん仕事抜きに、だ。
そんな思いがあって、校長にこの話をするとふたつ返事でオーケーがでた。
それをPTAの総務の友人に話すと、それならPTA主宰で全学年の保護者を対象にやろうと言ってくれた。
そんなわけで後のことは彼女に任せてしまった。
その結果が冒頭の言葉だった。
心理学とかカウンセリングはあやしいと思うひとが多いのではないか。
ましてフォーカシングなんてほとんどの人が知らない。
だいたいそういった勉強会は前例がない・・・・とも言われた。
電話を切ったあと、ため息がでた。
校長のGOサインはでたのに、なんで・・・・と思うと、PTAの保守性に腹がたった。
一瞬、全部投げ出そうかと思った。
怒りと悔しさを感じつつ、静かに自分の気持ちを見つめてみた。
わたしは本当にやる気が失せてしまったのだろうか?
激しい怒りとショックを感じている水面に近い部分の感情・・・・さらにゆっくりと海底に降りてゆくように、心の深い部分の感覚を感じてゆく。
悲しみ・・・・・わかってもらえないさみしさ・・・・・泣いている自分・・・・
ふいに、
あったかさとワクワクした気持ちに触れた。
あんなに悲しいと思っていたのに、心の奥ではまるで子供のようにわくわくしている。
新しい何かが始まるときの胸が熱くなるようなわくわくした気持ち!
ああ・・・・・そうだった。
わたしはただ、今の自分にできることをしたいんだ。
セミナーとか講習会とか、そんな形式はどうでもいい。
ただ伝えることで、そんなにぎゅっと思いつめなくてもいいんだよということを、ひとりでも気づいてくれたら。。。。それを思うと心の底からワクワクしてくる。
そう・・・・・・わくわく感!!
閉ざされていた状況が、ふいに変わっていく瞬間の、あのわくわく感を味わいたい!
大勢の前で話すことよりも、ひとりひとりに心をこめて伝えたい。
PTAでお膳立てしてくれると言われたときから、忙しさにかまけて、それっきりになっていた当初の気持ちを思い出した。この気持ちを再確認するためにこの流れが必要だったんだな。ただすんなりレールにのっていたら、きっとひとりひとりの心に届く話はできなかったかもしれない。
PTAの話し合いの最終結果はまだだけど、それとは別にわたしはわたしでクラスのお母さんたちに素のままの自分で思いを伝えてみようと思った。
さっそく親しい母さんにどきどきしながら電話をした。
彼女はじっくり話しを聞いてくれて、心から共感してくれた。
「わたしはその話はすごく聞きたいし、ほかにも聞きたい人はたくさんいると思うよ。自分の子供だけじゃなく、よその子にも目を向ける必要性は前から痛感していたし。そのためにも親の心に余裕が必要だよね。わたしもみんなに話してみるね。五年以外のひとにも話していい?」
嬉しかった。
きちんと話せば伝わるんだ。そのあと何人かに話してみた。みんな共感してくれた。やっぱりクラスの状況を憂慮しているひとは多いんだなあ。
PTA主宰のセミナーになるかどうかはわからないけど、それはどうでもいいと思った。有志の勉強会でもいい。ひとりでもふたりでも、必要としているひとに伝えてゆければいい。
以前、バタフライ効果の話をきいたことがある。
科学の話なのだが、蝶が羽ばたく時、かすかな風が起こる。そしてこの風は気流にのり、やがて台風を発生させるのだという。
この話をきいたとき感動した。
あの小さな蝶の起こした風が台風にまで発展してゆくなんて・・・・。
それならたったひとりから始めた行動もいつか風を起こすことができるのかもしれない。すくなくとも、いまわたしの周りでちいさな風が動き始めているのを感じる。
ちなみに上記の自分の気持ちに触れてゆく方法がフォーカシングです。この場合は基本形ではなくキョーコの変形バージョンを使っているけどね(^^
これ、やっぱりお役立ちツールでしょ(笑)?
2004年1月24日
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