癌の心理療法サイモントン療法についての考察 1「認知行動療法とサイモントン療法の関係」
昨年、サイモントン療法6日間プログラムと同年11月から3月までの5か月間プログラムを受講してきた。
ご存じの方もいるかと思うけど、サイモントン療法は米国の放射線腫瘍医で心理社会腫瘍医の.カール・サイモントン博士が考案した癌をもった患者とそのサポーターのための心理療法で、現在では癌患者のみならずストレスを起因とするさまざまな病気に対しても提供されている。
サイモントン療法の考え方の大きな特徴は人間は心と体と魂(霊性)をもっていることが前提になっているところなんだよね。
たんに症状の緩和や物理的にがん細胞が死滅することが治癒ではなく、癌細胞を作りだした原因そのものもふくめた心と体と霊性(魂)という全人的な観点において癒されたときに、はじめて真の健康を取り戻せるという考え方に立っていること。また人間は本質的に健康であり、たとえ病気になったとしても本来の健康な状態に戻る能力が備わっているため、これら本来の能力を強化し、QOLを高めることを目的としている。
うちのお客様のなかには、癌やリューマチなどの病で悩んでおられる方もいて、彼らからサイモントン療法についてどう思いますかと問われることが多かった。本で読んだ限りでは、おもに認知行動療法とイメージワークを主に、癌患者さん向けにアレンジした内容となっている。目新しい心理療法ではないけれど、一定の評価と結果を出しているのは事実だし、本当のところは本ではわからない。
というわけで、昨年の二度にわたる受講の運びとなったわけだ。
インターンとして二度にわたる受講で感じたことをまとめたレポートを3回に分けて掲載する。少々専門的な観点が入っているため、わかりづらい点はご容赦願いたい。
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癌の心理療法サイモントン療法についての考察 1 「認知行動療法とサイモントン療法の関係」 2013年4月2日
今回の受講の目的は下記の2点だった。
①サイモントン療法は癌のクライアントさんに紹介する価値があるのか、自分自身が体験して確かめること。
②自分自身のこれまで積み上げてきた実績や社会的立場にこだわらず、あらゆるものから学びを吸収できる柔軟性を育てる。
結論からいうと、①②のどちらの目的も達成することができた。
まず①についてだが、本を読んだ時点で、喜びと生きがい、病の恩恵と本来の自分らしい生き方に戻るためのメッセージを受け取る、内なる叡智、死と向き合う(死生観)、周囲とのコミュニケーションとサポート、二年間の健康プランについては取り組む順番も含めて素晴らしいプログラムだと思った。実際に受講してみて、その考えは確信に変わった。
サイモントン療法の主軸をなしている理論のひとつにビリーフワークがある。これはアーロン・ベックの認知行動療法をがんのクライアント向けにアレンジしたものだ。認知行動療法では人間は誰でも自分自身を取り巻く環境によって後天的に作られた思考パターン、すなわちそのひと固有の物事の受け止め方を持っていると考える。この受け取り方や思考パターンをビリーフ(信念)とよび、生きてゆくうえで問題を引き起こす不健全なビリーフの存在に気づき、ありのままのそれを受け入れ、さらにそこにとらわれない客観的でニュートラルな視点を獲得してゆくのが認知行動療法の一連のプロセスなのだ。
一般的に認知行動療法を使った心理セッションにおいては1回50分間のセッションを重ねながら、カウンセラーはクライアントが自分自身のビリーフと向き合ってゆくのをサポートする。ところがサイモントン療法では1回20分間のセッションが原則なのだ。
じつは当初はビリーフワークを20分間で行うことについて、いくつかの疑問と懸念を感じていた。
(2につづく)
2013年4月2日
【サイト内参考記事】
・サイモントン療法についての考察 1「認知行動療法とサイモントン療法の関係」
・サイモントン療法についての考察 2 「ワークの最中に起きている深層の動き」
・サイモントン療法についての考察 3 「根底のビリーフ(ストッパー)への気づきと癒し」
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