それでも、愛を信じます
毎週金曜日に行われていた首相官邸前の大飯原発再稼働反対デモ。
週を重ねるごとに人数が増えて、6月29日の時点では15~20万人とも言われている。
集まった人たちの多くは組織ではなく、私も含めて一個人だった。
歌いながら、太鼓をたたいてステップを踏みながら、花をかざしながら、それぞれの方法で、明確に意志を表現していたと思う。
そんな中、7月1日、大飯原発が稼働を再開した。
けれどあきらめない。
これからも意志を行動で示す。
なぜなら原発再稼働を止めることは、原子力産業全体に対してNOを突き付けることだからだ。
確かに国内を見渡すと、原発を止めることでデメリットをこうむる人たちもいるだろう。
もし本当に電力が足りないなら中小企業は大きなダメージを受ける。原子力産業で食べていた人たちも職を失うかもしれない。さらに廃炉にしたらしたで、300年以上にわたって原発の管理をしなければならない。原子力産業が衰退し、将来性がなくなれば、肝心の原発を管理する若い世代がいなくなる。現場の技術者は引き継ぐ者がいない現実を前に途方に暮れるだろう。
いっぽう、原子力発電を続けることで何が起きているのか、多くのひとは気付き始めている。原子力発電所は人間が管理できる代物ではないことを311の事故を目の当たりにして人類は思い知った。もちろん事故が起きなくても、原発は周囲の自然環境や現場で働く作業員に健康障害やダメージを与え続けている。
知っているだろうか?
原発の燃料となるウラン鉱石を採掘する際に、周囲の自然環境に回復不能なダメージを与え、鉱山で働く作業員はもちろん、周囲の住民も健康被害を受ける。また鉱山がオーストラリアのアボリジニや北米のナバホ等の少数民族の居住地にあるため、彼らの多くが健康被害を受けている。土地を奪われるということは文化を破壊されるということだ。
オーストラリアでは反対運動の結果、賠償金を支払う事態に追い込まれているが、アボリジニに対してはじゅうぶんな賠償がなく、いまも問題は解決していない。こうした背景があるため、ウラン採掘はカザフスタン、南アフリカ、ナミビア、ブラジル、ニジェール、ロシア、ウズベキスタン等の発展途上国で行われている。
原子力産業の構造がみえてきただろうか?
原子力は、弱者の犠牲の上に成り立つ発電方法なのだ。私たちが原発で作った電気を消費するとき、地球のどこかで貧困と放射能による健康被害で苦しんでいる人たちがいる。
私は、この構造を選択しない。
原子力によって電力を作ることに賛成する人も、反対する人も、たぶん誰もが幸せになりたい、喜びとともに生き生きとした人生を送りたい思っているはずだ。
私がデモに参加する最終目的は、大飯原発を止めることでもなければ、原発推進派を攻撃することでもない。心から望んでいるのは、愛と共感をベースにした社会で生きてゆきたいということなのだ。誰の心の中にもあるささやかな幸せを望んでいるだけだ。だからこそ賛成派も反対派も、理解し合える余地がある。
原子力以外にも電気を創る方法はたくさんあるし、多くの人々が意志表示をすれば、そこに資金と人材を投入することも可能なはずだ。この国には、それだけの優秀な技術がある。
政治に任せている限り、その力が日の目を見ることはない。
けれど、もし私たちひとりひとりが、気軽に意志表示をしたら、きっと話し合える場ができる。
誰かがやるのを待っているだけじゃ変わらない。
気づいたあなたが動くんだ。
柔らかに、愛をこめて、明確な意志を伝えよう。
わたしは6月29日に夫や友人たちと官邸前を歩いて肌で世界が変わってゆく空気を感じた。
道行く人にもらった紫陽花の花が印象的だった。
お巡りさんと目が合うと、にっこりほほ笑んだ。
見ているだけじゃわからない。
一緒に歩こう。
2012年7月3日
★白鳥澄江の著書
なぜ眠り姫は海で目覚めるのか? 超ネガティブ思考を解除する3つのメソッド
★白鳥澄江の新刊はこちらから、1章丸ごと立ち読みできます
「なぜ眠り姫は海で目覚めるのか?~超ネガティブ思考を解除する3つのメソッド」
でーぷすぎる記事やメルマガ限定記事は無料メルマガで配信しています。
興味がある方は、ぜひ下記のフォームから登録してみてね。
↓↓↓