精霊 クリスマスの奇跡
さて今年も残すところあと三日になったね。
毎年この時期になると、年の瀬の慌ただしさに追われながらも、とても不思議な気分になる。
とくに今年は多くの人にとって、3月11日の東日本大震災の影響ぬきでは語れない年だったんじゃないだろうか。もちろんわたしにとってもそうだった。
■不思議な若者
それが起きたのは、数日前のクリスマスの日だった。
前日から岩手県八幡平に出かけた帰りで、新幹線の出発時間にはまだ間があったので、わたしたちは車内で飲むビールとお弁当を買うために盛岡の駅ビルにいた。
夕方の駅ビルはクリスマスの売れ残りのケーキやお正月用のおせちを買う人でごった返していた。
夫がビールを買いに酒屋の奥に消えていったので、わたしはお店の前で待っていた。
店先には本日おすすめの地ビールやワインが飾ってあって、なんとはなしにそれを眺めていると、ちいさなザックをしょった若者が目の前の地ビールを覗き込んでいる。
ちょっと邪魔だったかなと思って、黙って一歩後ろに下がると、
「大丈夫です。見えます」
彼はそう言って、わたしの顔をみた。
目が合った。
20代くらいだろうか。
澄んだ目をしている。
でも、なんて言うか、普通の若者と違うのだ。
昔、近所に自閉症の子がいて、なぜか彼はわたしによく話しかけてくれた。
目の前の若者はその子とどこか雰囲気が似ている。
「ありがとう」
わたしは言葉に詰まってそう言った。
なんでありがとうなのか、自分でも意味わからんと思いながら(笑)。
彼は少し間を置いてから、こう言った。
「日本は日本じゃなくなってしまいました・・・・・・さびしいけど、しょうがないです」
「え・・・・・?」
■本当の声、真実の言葉
不意打ちだった。
わたしはその場に立ち尽くしたまま返す言葉が見つからなかった。
彼はしばらくそこにたたずんでいたが、やがてそれ以上何も言わずに、くるりと背を向けると雑踏に消えていった。
わたしは思わずため息をついた。
そうなのだ・・・。
気がついているひとは気がついている。
2011年3月11日以前の、私たちが「日本」だと思っていた日本はいまはもうないのだ。
水も空気も食べ物も物理的に変わってしまった。
「日本は(社会)民主主義国家」であるという共通認識が幻想であったことも白日の下にさらけだされてしまった。
それは多かれ少なかれ、多くの人が感じていることだろう。
ただその現実を認めたくなかったり、口に出すのをはばかられる空気の中で、いつもの日常会話を羅列しながら、かすかに感じている危機感を心の奥底に押し込めているだけのように見える。
無難で平和だけど、そこには真実の言葉はない。
わたしがショックだったのは、あの若者が身近なひとにではなく、見ず知らずのわたしにそれを言ったことだった。
彼は本当の声、本当の言葉を語る場所を持っているだろうか?
それは赤の他人に語らなければならないほど大きな痛みなのだろう。
クリスマスに心温まる、本当の自分の声で語り合える仲間や友人はいるだろうか。
虚構や現実逃避や偽善ではなく、たとえそれが不安や悲しみを伴うものであったとしても、心温まる関係の中で、心の底で感じている本当の気持ちを自分の言葉で伝え合うことができるなら、悲しみは力に変わる。
絶望は乗り越えるべきミッションに変わる。
変えられない未来はない。
わたしはそれをあの若者に伝えることができなかった。
ただ「ありがとう」と言うのが精いっぱいだった。
多くの人々の無意識の声、
とりわけ3月11日の影響が大きい東日本の人々の集合無意識があの若者の心とリンクして、期せずして言わせた言葉だったのかもしれない。
あるいは日本列島に住んでいる精霊たちの思いとリンクしたのか。
きっと両方だろう。
■クリスマスの奇跡
おりしも新月のクリスマス。
冬至を迎え、生まれたばかりの、若く、新しい太陽と新しい月がめぐる日に降りた小さな声。
君に約束するよ。
その悲しみはわたしがかならず希望に変えると。
わたしたち人間は、誰もが未来を切り拓く力を持っている。
まずわたしが動くよ。
君から受け取った小さな波紋は、わたしをとおして周りの人たちに伝わるだろう。
そして波紋が連鎖反応のように広がりながら、この世界に広がってゆくのだろう。
かならずこの世界は変わる。
そのとき君はあらためて自分の力を思い出すだろう。
自分の声、真実の言葉が人を動かし、この世界を動かしてゆくことを。
2011年は誰にとっても、失ったものもあったけれど、得たものもまた多かったはず。
もしもすべてを失ってしまったと感じているなら、サイコシンセシス(統合心理学)の第一人者ロベルト・アサジョーリの弟子であるピエロ・フェルッチの言葉をあなたに贈ろう。
わたしたちは、喜びと光明の期間に劣らず、暗闇を大切にします。
また障害が完全に消滅することを約束するよりもむしろ、障害を成長へのステップとして利用することの重要性を強調します。
それは保証された安全と恍惚の代わりに懐疑と冒険を選びます。
既存の解答、まやかしの「明快さ」より混乱の中の創造性を重視します。
それは私たちに楽さとともに、努力を思い起こさせます。
人間の無限の可変性を認めるがゆえに、月並みな結果を約束するものではありません。
いま起きていることは政治も含めて、リアルな現実だ。
わたしたちは戦後70年近くもの間、在りもしない幻想の中で眠っていたのだろう。
そして眠っている間にリアルな現実は望まぬ方向へと進行していったのかも知れない。
目を覚まして、シビアな現実と向き合うことは、新しい現実を創るための第一歩だ。
そう。目を覚ませ。
そして、生きろ。
多大な犠牲を覚悟して、
それでもなお眠り呆けている私たちを揺さぶり起こそうとした、
日本列島という土地のそこかしこに住まう精霊や祖先をはじめとした多くの魂たちの思いに報いるためにも、
こんどこそリアルな現実を創ろう。
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私たちすべての人間の中には15000年以上も前の地球の激動期を生き抜いてきた祖先の血が脈々を流れている。
私の中にも、あなたの中にも。
さあ、目が覚めたね?
心からの愛と感謝をこめて、2011年に乾杯!
2011年12月28日
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Comment
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キョーコさん、ありがとう。 元気づけられました。というか、尻叩かれた!(笑) やるよ~!(笑)
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政治について 親しい人と話すことがとても怖いです。 違う意見を言うことで 相手を不機嫌にさせてしまったり 場の空気を悪くしてしまったりしてきました。 周りの人たちはテレビや新聞から情報を得ていることが多く 今はK-POPや韓流にはまり 仙台にパンダがくるよ!と喜んでいます。 相手の喜びにケチをつけるような気がして、もう何も言うまいと思っていましたが それでも黙っていたら、今の状況を受け入れていくよ、と言うのと同じことですよね。 変化を起こしたいなら行動しないと…! 怖いけど 自分の意見をまた言ってみようかと思います。
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そうてつさん はい。気合入れていきましょ(笑)!
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Sさん コメントをありがとうございます。 そうですね。言い続けることはすごく勇気がいりますよね。 それが自分の本当に思いから出たものなら、意見を言うことや行動することは自分が自分でいられるひとつの証でもあります。 そしてその先にSさんが手に入れるのは、本当の「自由」なのだと思います。 Sさん、応援しています。
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キョーコさん こんばんは。去年の記事に今更ながらコメントをさせていただきます。 いままでこの記事にコメントを出来なかったのは気持ちの整理が出来なかったからです。 改めて本日読み返して「君に約束するよ」以外、涙が出ました。私はちゃんと受け止めましたよ。そして、名前もしらない君へ、私も君に約束するよってね。私がこれから歩もうとしているマイルストーンを通過した感じです。キョーコさん、この記事を書いてくれてありがとうございます。
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柴犬さん おはようございます。 すっかりお返事が遅くなってすいません。 柴犬さんにも届いたんですね。 うれしいです。 ありがとう。