シャーマンの娘を持つ父の魂の件
父の入院先から電話が来たのは、つい4日前のこと。
「お父さまの状態がかなり悪いので、至急来てください」
父は91歳。
14年前のリーマンショックの直後に脳梗塞で倒れて以来、長期の療養生活を送っている。
あのときも手の施しようがないから助からない、と言われながらも奇跡的に一命をとりとめた。
そのかわり半身不随と嚥下障害という重い障害が残った。
今回は老衰というフェーズにはいりはじめているし、何が起きてもおかしくない年齢だ。
ついに来たか・・・。
14年前に拾った命。
いつかその日が来るのは覚悟していた。
個室に移されてベッドに横たわっていた父はわたしに気づくと目をあけた。
嚥下障害なので会話はできないけれど、こちらの言うことはわかる。
「お父さん」
そう声をかけると、父はちょっと苦しそうな顔をした。
ああ・・・そうなんだよね。
もうじゅうぶん生きてきたし、苦しんできたんだからもういいよね。
わたしは目をとじて、静かに祈った。
父の魂がそれを望んでいるのがわかったから。
心眼に映った父は白く光っていて、穏やかに頭を垂れていた。
その姿を見ていたら、ひとつ気がついたことがある。
父にとって言葉を発することもできず、半身不随で自分では寝返りひとつ打てない状態の14年間は地獄の苦しみだっただろう。生きていても苦しいばかりで、死にたいと漏らしていた時期もあった。
まして父は倒れる前に尊厳死の本を読んでいたので、人生の決着のつけ方を父なりに考えていたはずだ。もっとも父がそんな本を読んでいたのをわたしが知ったのは、危篤状態を脱して胃ろうを付けたあとだった。当時のわたしは脳梗塞後鬱に苦しむ父のそんな姿を見るのがつらかった。
でもある時期を境に、父の表情が穏やかなものに変わっていったんだよね。
その頃から父は生まれたての赤ちゃんのような澄んだ目をするようになった。
それが、父なりの生きるということの答えなんだろう。
お父さんは不幸ではなかったんだね。
なにひとつ思い通りにならない状況で、ひととして最善を尽くして生きぬいたんだね。
14年間の地獄の苦しみの中で、薄皮をはぐように、自らの我を削ぎ落していった父の魂をみながらそう思った。
あ! やばい!
わたしはぎょっとした。
真っ白い光をあびながら、父の魂がすーっと肉体から抜けそうになっている。
シャーマンという仕事がら、そういう光景は見慣れたものだけど、身内となるとべつの感情が働く。
もう少し待って!
9/16までは超絶忙しいんだってば!
悲しむ暇もないじゃない!
心眼のなかの父は「また、そういうわがままを言う」という表情で軽く笑った。
目をあけると、父は気持ちよさそうに寝息を立てていた。
そして、きのうの夕方。
病室のドアを開けると、父は目を覚ましていて、ずいぶんと元気そうだった。重度の肺炎で危篤の一歩だったひとには見えない@@
もうだめかもしれないということで、北海道の親戚まで呼んだんだけど・・・。
あのときと同じだ。
14年前も祈った翌日に回復したのだ。
父を見ると、まだ点滴は付けたままだけど、どこか楽しそうに笑っている。
あまり面会に来ない娘が三日連続で来るのに味をしめたのかな。
してやられた、と思いつつ、どうやらわたしのささやかな願いは叶ったらしい(笑)。
父の魂は14年間の苦悩の末に、もうあちらに行く準備がすっかりできている。
あとは本人の意志しだい。
そう遠くない未来に、そのときは来るだろう。
願わくば苦しんで逝くのではなく、穏かに最後の呼吸を楽しんでから、そのままあちらに旅立てることを。
2022年9月12日
◆電子書籍のタイトル
「だいじょうぶ 肩の力を抜いてみて
シャーマン流 愛を受けとる祈り方」
◆出版記念99円キャンペーンの期間
9月16日(金)16:00 ~ 18日(日)23:59 までの3日間
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