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親の呪縛を受けついだ私たちが、この世に生まれた本当の意味

 
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脳科学と心理学に精通し、16年間で1万人以上の相談にのってきたシャーマン。「信じる力は、世界を変える」がモットー。自分自身を信じる力・愛を受け取る力を育てる方法、激動の時代を乗り切る極意を教えている。 著書「なぜ眠り姫は海で目覚めるのか? 超ネガティブ思考を解除する3つのメソッド
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 先日北海道に行ってきた。
 羽田から千歳行きの最終便に乗って千歳で1泊。翌日夫の友人と会い、その足で母の住む町に向かった。
 

 私が生まれたのは北海道のちいさな海辺の町で、5歳の頃までそこに住んでいた。生家から15分くらい歩いたところに母方の祖父の家があって、すぐうらは海だった。
 

 幼い頃はよく海で遊んだ。家の裏手の土手をのぼると、砂浜がどこまでもひろがっている。子供たちが何人か集まっては、波をおいかけて波打ちぎわぎりぎりまでいって、波が打ち寄せてくるとあわてて逃げる。あきもせず日長一日そんなことをしていた。
 

 8年前に祖父も他界し、いまは母がひとりでそこに住んでいる。母は男前というか、ハイカラというか、波乱万丈の人生を歩いてきたひとだった。もともと専業主婦におさまる性格ではなかったらしく、わたしが若い頃離婚して、いまは気楽なひとり暮らしだ。
 

 そんな母だから私ともよく衝突した。若い頃の私は母が許せなかった。正確にいえば両親が許せなかった。両親に代表される自分をとりまく環境のすべてが理不尽で納得がいかなかったんだよね。だから私は学校を卒業してすぐ家をでた。
 

 けれど家を出たからといって、根本的な親子の問題が解決されるわけじゃない。母とは何度もぶつかり、心にたまっていた思いのすべてをぶつけて、つかみ合いの大喧嘩をしたこともあった。
 

 そうした母とのやり取りの一方で、二十代の私はひたすら自分の心を見つめつづけた。「生きることが苦しい」、そう子供の頃から感じ続けていたのはなぜだろう、と。
 

 やがて自分の気持ちをじっと見つめているうちに浮かび上がってきたのは、「親の役に立たない自分は価値がない。自分の気持ちを殺してでも親の心の安定を守れ。それができないなら存在するな、生きるな」という深層心理レベルでの刷り込みだった。
 

 じつはそれは母自身が幼少のころから感じてきた苦しさそのものだった。つまり子どもの頃の私は母の感情や思考パターンを無意識レベルでまんまコピーしていたわけだ。まさに母の呪縛といっていい。
 

 じつはこれはよくある話なんだよね。
 自分の心の動きを意識的に観るという習慣がない場合、親の感情や思考パターンを無意識のうちにそのままコピーしていることが多い。ただコピーする内容が私のようにきついか、もうすこし生きやすいかの違いでしかない。
 

 もし私たちがたんなる親のコピーでしかないのなら親とは違う「私」という人間としてこの世に生まれてきた意味などない。けれどわたしたちは親の思考パターンをコピーしている部分もあるけれど、それがすべてじゃない。自分の心を持ち、肉体を持ったひとりの人間だよね。だからこそ葛藤が生まれ、親子の対立の構造が生まれる。葛藤や対立を避ける必要はない。なぜならそこに気づくことが自立への最初の一歩になるからだ。
 

 『なぜ眠り姫は海で目覚めるのか? 超ネガティブを解除する3のメソッド』にも書いたけど、自分のなかの思考パターンに気づき、自らの手で親の呪縛から自分自身を解放してあげるための道のりが、本当の自分=自我の目覚めと成長なんだよね。つまり親や社会の借り物でしかない価値感から脱皮して、本来のオリジナルの価値観を育てることが本物の自律つながる。
  

 なぜ私たちは親たちの無意識を受け継いでしまうのだろう?
 
 
 それは、いまここに生きている私たちはそれぞれの家系のアンカーであると同時に、時代のアンカーそのものだから。親の世代が解決しきれなかったテーマを解決して、本来の自分の道を歩くこと。言い換えれば、親たちが築いてきた道のその先に新たな道を創ることが私たちひとりひとりに課せられた役割なんだよね。それは時代を創ることそのものでもある。
 

 五年ぶりに会う母は少し白髪が増えたけれど、あいかわらず元気だった。きのうの延長みたいな日常会話をしている母と私をみて、夫が「淡々としてるなあ」と笑っていた。
 

 たしかに淡々としているかもしれない。
 自分が母の思考パターンをコピーしていたことに気づいた瞬間、長年の苦しさは消えた。あのとき私はようやく母親を乗り越えることができたのだろう。あれから長い年月が過ぎ、母との関係も変わった。
 

 衝突したときもあったけれど、おたがい自分から逃げなかったからこそ今のいい関係がある。戦いすんで日が暮れてじゃないけど、それぞれハードな戦場を駆け抜けてきた兵士どうし、言わなくても分かり合えるとでも言ったらいいか。
 

 いま母に対して感じるのは反発と甘えの混じった親子の感情ではなく、対等な、同じ女性としての敬意。そして「守らなくてはいけない」という呪縛ではなく、自分よりも体力の衰えた母にたいする労わりの思いだった。
 

 やっぱりいつのまにか親を越えたのだろう。
 あらためてそんなことを感じた旅だった。
 
2009年7月3日
 

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脳科学と心理学に精通し、16年間で1万人以上の相談にのってきたシャーマン。「信じる力は、世界を変える」がモットー。自分自身を信じる力・愛を受け取る力を育てる方法、激動の時代を乗り切る極意を教えている。 著書「なぜ眠り姫は海で目覚めるのか? 超ネガティブ思考を解除する3つのメソッド
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Comment

  1. miko より:

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    キョーコさん、こんにちは。 >いまここに生きている私たちはそれぞれの家系のアンカーであると同時に、時代のアンカーそのものだから。親の世代が解決しきれなかったテーマを解決して、本来の自分の道を歩くこと。 フォーカシングをやるようになって、最近ようやく今の自分の思考パターンを作った一番根っこの部分に到達しました。 その時に、私もこんな事を考えていました。精神世界でよく言う「カルマ」って、こういう事なのかな、見えない世界の事でなく、ちゃんと「人」の中に顕現してるよなぁって思ったら、漠然としたものでない、確かなものだと感じられて、自分のルーツをご先祖まで辿って行く事が自然に出来たように思います。 …と言っても「自分の道」を見つけるには、まだ時間がかかりそうですが(笑)

  2. キョーコ より:

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    mikoちゃん こんにちは。 うん。根っこの部分に辿りついたのね。 なかなか手ごわいテーマだけど、抜けると世界観が変わるくらい心地よくなるよね。 いつも応援しているね。

  3. yacco.n より:

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    お久しぶりです。 読んでいて、キョーコさんと私の親子関係・・・似てるわぁ。と思いました。 そんな母と一緒に暮らすことになりまして、来週引越しです。 これも私には、必要な型となりそうです。

  4. キョーコ より:

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    yacco.n さん こんにちは。 意識しているかどうかは別にして、こういうパターンの親子関係は多いんですよ。 お母様と一緒にくらすんですね。 いい時間が過ごせるといいですね。

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