生きるということ
先週の日曜日は「祈りの被曝ヒーリング勉強会 心を育てるトレーニング虎の穴編」というわけで、午前中は、サイコシンセシス(統合心理学)をベースにした心の見取り図の話と自分の感情と向き合うための優れた手法であるフォーカシングがテーマだった。
とくにフォーカシングは禅の止観にも通じるところがあって、お勧めの手法なんだけど、3時間という短い枠の中では、どちらもさわりしか教えられなかった。それでも何人かの方からこんな感想をもらった。
「悩んだり、問題が起きるたびに、そのつど浮上するテーマや感情を味わったり、見つめたりすることがとても大切なプロセスなんだなと思いました」
うん。そうなんだよね。
生きていればいろんなことが起きる。
悩んだり、ときには絶望的な気持ちになることもあるかもしれない。
この苦しみがなくなればいいのにと思うこともあるだろう。
あるいは自分や家族が重い病気に罹り、将来に対する不安と苦しみで、このさきどう生きていったらいいのかわからなくなる時もあるだろう。
けれどそれも含めて人生なんだよね。
ひとつひとつの出来事に幸・不幸はない。
それをどう受け止めて、意味を見つけるかはそのひとしだい。
たとえば癌をはじめとした身体症状はそのひとのより深い本質からのメッセージであることが多々ある。自分の感情や身体症状をとっかかりにして、じっくりと自分という人間と向き合ってゆくプロセスを味わうことができれば、人生はより豊かなものになる。
わたしたちの多くは子供の頃のおとなとのかかわりもふくめた環境の中で、さまざまな思い込みを身に着けてきた。それはおとなになったいま、ほとんど意識できないレベルまで深くはいりこみ、日常のあらゆる場面にわたって私たちを支配し続けている。
それが自分の本質的な、心の底から望んでいる在り方に反するとき、多くの場合、人間関係のトラブル、心身の不調という形でシグナルを送る。
問題が起きたときはチャンスだ。
多くの場合、子供の頃に出来上がった古い思い込みが問題の根っこにある。
この古い思い込みは自分の中のうまく使いこなせていない個性の一部なのだ。
個性の一部という意味がわかるだろうか?
古い思い込みはべつの言い方をすると、自分という存在の一部である精一杯生きている愛すべき人生の初心者なんだよね。自分の中のネガティブな感情に気づいたら、きちんと受けとめて、じっくりとそのプロセスを味わってゆくと、それはあなたの中でダイナミックな変容を起こす。
そしてそれはあなたがあなたという存在の深いところで渇望し続けている本質的な生き方へとあなたを誘うだろう。
つまり悩みや苦しみ、身体症状は本来の自分に気づくための貴重な道筋なのだ。
このプロセスを丁寧に味わうことが生きることそのものだといってもいい。
釈迦の教えや禅の基本の一つでもある止観はそれを実践するためのツールだったりするわけだ。
ようするに古来から人生の達人たちは、味わうことの深い意味を知っていたんだよね。
わたし自身、若い頃は心身ともに苦しんだ時期がある。
いま振り返ると波乱万丈だったけれど、限りなく豊かな人生を生きてきたなと思う。
それは問題が浮上するたびに、そのつど自分自身の気持ちと向き合いながら、ひとつひとつのプロセスを味わってきたからだ。
いまは簡単にネガティブな感情を書き換える心理学的ツールもあるし、目先の利益を煽るような自己啓発的なものも多い。プロセスをはしょって簡単に結果を出すツールは使い方を間違えると人生を浅くインスタントなものにしてしまう可能性をはらんでいる。
なぜならその種の技術が出来てから、せいぜい10年か20年しか経っていない。
それらの技術を使って古い思い込みを書き換えたとして、30年後の自分はどんな人間になっているだろう?
外にばかり目がいって、人生の深みをじっくりと味わう機会を失ったまま年を重ねているかもしれない。止観やフォーカシングなどの瞬間瞬間のプロセスを味わう手法は古くからあるシャーマンの技術と原理が同じで、それは2000年以上の長きにわたって受け継がれてきた。ひるがえって前記の方法は誰も30年後の未来の結果を知らないのだ。
4年前、父親が脳梗塞で半身不随・嚥下障害の状態になった。
食事も胃瘻で流し込むしかなく、体も動かない中で父は絶望を感じたのだろう。
当時、何度も死にたいと口にした。それを聞く私たちもつらかった。
それが2年くらい経った頃からだろうか。
父は澄んだ目で私をみるようになった。
ほとんどしゃべれないので本人の口からは聞いていないが、きっと何かを乗り越えたのだろう。
喜びも悲しみも、ときには絶望も含めて、人生は素晴らしいと、心からそう思う。
自分自身の気持ちと向き合ってゆくとき、また病気もふくめた身体症状の発する声と向き合ってゆくとき、きっとあなたの人生も豊かに開けてゆくに違いない。
なぜなら、心と体の痛みはあなたという奇跡の深い本質から立ちのぼる最大の贈り物なのだから。
2012年4月18日
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Comment
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それでこそ、オリジナルでオーダーメイドな人生になりますよね。 痛みも不快感も、味わい続けるうちにスルメみたいに変化して面白いです。 不器用でへたくそな自分、マイペースな自分を認めることが 基本であり、奥義でもありますね。
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友美子さん こんばんは。 はい。オーダーメイドだからこそ人生は素敵なのかもしれませんね^^ 不器用万歳! ですね^^
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最近自分を振り返ってなかったように感じます。
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みみ~さん うん。ゆっくり振り返ってみるといいかもしれないですね^^