朝
窓の外にでると早朝の冷たい空気が肌をさす。
陽の光がうろこ雲の向こうから東の空を照らす。
冬の到来を予感させる、かすかな空気を体中で感じながら空を見あげる。
自分のなかでなにかが変わった。
言葉にできないちいさななにか。
それは春を待つたんぽぽの種のようにゆっくりとたしかな足取りでわたしの胸の奥に息づいている。
子供の頃いとこたちとよく近所の海で遊んだ。
波がひいた瞬間、足が濡れない波打ち際ぎりぎりのところまで近づいて、波が押し寄せたら全速力で逃げる。
足元の砂があっというまに波にさらわれる。
そのたびに幼かったわたしはよくころんだ。
靴までびしょぬれになったまま、はるかな憧れにも似た気持ちで水平線を振り返る。
いつかきっとそこに行きたい。
それは幾度となく恋焦れた場所だった。
なんだかとても懐かしい。
いまだそこにはたどりついていないけれど、希望に満ちたまなざしのまま穏やかにいまこの場所に立っている自分がいる。
晩秋から初冬へと変化してゆく森の色を楽しむように、雪をかぶったナナカマドの真っ赤な実を愛でるように、手のなかのちいさなぬくもりをそっと抱いてここにいたい。
朝の光を見ていたらふとそんなことを思った。
2007年11月9日
★白鳥澄江の著書
なぜ眠り姫は海で目覚めるのか? 超ネガティブ思考を解除する3つのメソッド
★白鳥澄江の新刊はこちらから、1章丸ごと立ち読みできます
「なぜ眠り姫は海で目覚めるのか?~超ネガティブ思考を解除する3つのメソッド」
でーぷすぎる記事やメルマガ限定記事は無料メルマガで配信しています。
興味がある方は、ぜひ下記のフォームから登録してみてね。
↓↓↓
Comment
SECRET: 0
PASS:
窓の外にでると早朝の冷たい空気が肌をさす。 陽の光がうろこ雲の向こうから東の空を照らす。 そうですね。朝の空気は気持ちが良いものでしたね。 思い出させて下さってありがとうございます。 私は海の記憶はあまりなく、自宅の庭で感じただけですが、 ぼんやりしつつ爽やかで、ささやかな憧れがたくさんあったような気がします。 またあんな気持ちになれるように、と指標になりました。
SECRET: 0
PASS:
mariさん こんばんは。 朝は空気は気持ちいいですよね。 枕草子じゃないけれど、季節によって好みがわかれるところかな(笑)。
SECRET: 0
PASS:
うわ… また思い出しました。 十代のとき、その古典の影響で、京都の山が見えるところに住みたいと思ってたことがあるのです。すっかり忘れてしまって… 今行って感動できるのかちょっと心配なような。 完全オフで心を空白にする時間って時々は大切ですね。
SECRET: 0
PASS:
mari さん >十代のとき、その古典の影響で、京都の山が見えるところに住みたいと思ってたことがあるのです。 いちど足を運んでみてはどうです? なにか大切な気持ちを思い出すかもしれないですよ。