成長なんていらない(笑
日本人は「成長」が好きだよね。
経済も、ココロも、成長したい、成長しなきゃと思い込んでいて、成長が止まると「自分はちっとも成長していない。だから自分はダメなんだ。もっと努力しなきゃ」なんて思い込んでいる人も多いんじゃないかな。
はっきり言おう。
成長しなくたっていいんだよ。
そもそもひとはなぜ生きるんだろう?
人生は思い通りになることのほうがすくない。努力や発想の転換である程度の願いは叶う。でも生まれた瞬間の環境や時代という手持ちのカードは変えられない。誰もが生きる過程で肉親や親しいひとの死を経験するし、仕事や人間関係で悩んだり苦しんだりすることもあるだろう。
人間にとって最大の制限は『肉体の老いと死』だ。事故死・病死・老衰、死の形はさまざまだ。だけどそれは誰にとっても逃れることができないよね。釈迦はこうした人生上の思い通りならない苦痛を「四苦」と名付けた。
苦しみや理不尽な状況の中で、私たちはどう生きたらいいのだろう?
思い通りにはならないことが多い中で、智慧をしぼって、心を使って、自分が納得できる選択をすることに尽きる。周りの意見を参考にはするけれど、最後は自分で決めて、行動すること。そうすれば、どんな結果であろうと引き受けられるよね? ひとが生きるっていうのはそういうこと。
そのためにはいまこの瞬間の自分の感情や考え、直観などの心の動き、体の感覚を意識するといい。そうすると自分の本当の欲求、いま感じているあいまいな何かや叡智に気づく。こうした自分のセンサーを総動員して一瞬一瞬の選択をしてゆくことがいま生きていることに対する充実感、納得感、深い幸福感につながる。それはかならずしも世間的な価値観や成功や物質的満足とは一致しないかもしれないけれど、濃く、深い人生を生きることになるだろう。
ひとはなぜ生きるのかという問いは私たちにとって根源的な問いでもある。
釈迦が見出した答えは「人生の目的は絶対幸福、幸福を体験すること」だった。幸福になるという未来形ではなく、幸福を体験するという現在進行形だってところがミソだ。四苦とかいって、人生は苦しみばかりだと言っておきながら、現在進行形beingで幸福を体験するってどういうことだと思うよね?
ここで大事なポイントは幸福は自分の外にはないってことなんだよね。
起きてくる物事それ自体には幸・不幸の意味はない。それをどう受け止めるか、どう意味づけするかによって、物事は幸・不幸、どちらにもころぶ。そして物事は常に移ろい変化してゆく。
たとえばご主人がお花を買ってきてくれたという出来事の表面的な部分をとらえて幸福と名づけるなら、幸福は常に過去の中にしか存在しないことになる。だって時間は流れているからね。お花を受け取った次の瞬間、もうそれは過去の自分史の1ページになっちゃうわけで、いまここ現在ではないんだよね。
もしもあなたがいまこの瞬間瞬間の自分の心の動きを丁寧に感じて生きることを実践した場合、お花を受け取った瞬間、それを喜ぶ自分の心を味わい、次の瞬間、料理を温めることに意識が移ったのを感じ、それを味わう。
ご主人とおしゃべりしながら食事をしている中で、共通の友人が入院したという話を聴いて、心がそれに反応して悲しんでいるのを感じる。
しばらく悲しみを感じていると、やがて「ひとは弱いなあ。。」という、同じいまを生きる仲間と自分自身に対する愛しいような気持ちが湧き上がってくるかもしれない。
いつお見舞いに行くかという話になって、自分の心を感じてみる。
自分はどうしたい?
ここで諸事情や夫の意見、自分の中のさまざまな思いを感じて、そのうえで納得できる決断を下す。
結果は誰にもわからないけれど、どんな結果であっても自分が納得して選んだのであれば一連の出来事を受け止めることができる。
生きていること、いまこの瞬間に体験していることそのものを味わうという視点は「変化」とともにある、「変化を受け入れ、自分自身も変化の一部として生きる」という視点でもある。この状態で生きるとき、そこに深い幸福がある。禅ではこの境地を空(kuu)と呼ぶ。
そもそもこの宇宙は変化途中、成長途中にあるともいえるんだよね。
なぜなら変化が存在するからだ。
もしこの宇宙がすでに完成されていてパーフェクトな状態ならばそこに変化が起きる余地はない。
ところが私たちの宇宙は変化に満ちている。
この不完全な成長過程の宇宙の中で不完全な成長過程の私たちが存在しているというのはとても面白いね。
わたしたちが今を生きること、精一杯生きようとする過程で、私たちの心はもちろん、周囲の人間関係にも変化が起きる。それはさざ波のように周囲に広がり、地域社会や国、地球や太陽系、やがて宇宙全体へと広がり、宇宙全体の変化・成長を促してゆく。
ひとはなぜ生きるのだろう?
それは生まれてきたからだ。
どんなことがあっても、それでも生きろ、と。
いつか肉体を失う日がくるけれど、そのときまでは「自分自身」を精一杯生きればいい。
あなたが「あなた」として存在しているということが重要なのだ。
存在するだけで、すでにあなたはこの世界を支えている。
だから成長しようと必死にならなくてもだいじょうぶ。
ほっといても成長するのが人間だからね。
あとで振り返ったとき、しみじみと成長したなあ。。。とお茶でも飲みながら思えばいいよ。
2013年3月11日
★白鳥澄江の著書
なぜ眠り姫は海で目覚めるのか? 超ネガティブ思考を解除する3つのメソッド
★白鳥澄江の新刊はこちらから、1章丸ごと立ち読みできます
「なぜ眠り姫は海で目覚めるのか?~超ネガティブ思考を解除する3つのメソッド」
でーぷすぎる記事やメルマガ限定記事は無料メルマガで配信しています。
興味がある方は、ぜひ下記のフォームから登録してみてね。
↓↓↓
Comment
SECRET: 0
PASS:
こんにちは。読んでいて自分自身に笑ってしまいました。本当に成長好きかもって。成長しなくてわ!ってなんだかいつも追われていたようですよ。 子供の頃から刷り込まれていたのかな、頑張っていこう頑張って成長しなくてはいけないんだよって。ですから、成長しなくてもいいんだよというキョーコさんの言葉に目からうろこでした。そうかそうか、自分の子供にも無理強いしていたかもしれないと省みる良いきっかけになりました。ありがとうございます。
SECRET: 0
PASS:
なおねえさん うふふ。目からうろこって気持ちいいですよね。 自分の中のどんな感情に対しても、100%YESと言ってあげられるといいですね~。