台湾有事と日本についての考察
Dangerous Windowという言葉を聞いたことがありますか?
これは米高官のあいだでささやかれている言葉で、台湾有事の可能性が非常に高くなる時期をさしています。その時期は2022年秋から2024年末までです。理由はこの時期は台湾総統選、ロシア大統領選、米大統領選があるからです。
このところ神示もふくめて、いろいろ感じることがあるんですが、どう伝えたらいいのか迷っていました。一部の情報通をのぞいて、こうした国際情勢を直視している人は少ないと思います。だから多くの人は事が起きたとき、突然事態が急変したと感じてパニックになります。けれど誰の目にもわかる戦争という現象が起きるずっと前から事態は進行しています。
たとえばウクライナ戦争を例にとってみましょう。
事情を知らない人の目には、2022年2月24日ロシアが突然戦争をしかけたように見えますが、じつは2014年のクリミア編入以降もロシアとウクライナとの紛争は続いていました。
また2021年12月14日、ロシア軍がウクライナ国境に集結。同年12月20日、ロシアがウクライナ問題に関して提示した安全保障要求について、ロシアは米国からの速やかな回答を迫りました。
この時点ですでに全面戦争は避けられない情勢になっていたわけです。さらに2023年2月10日、米国はウクライナにいる米国人に対して全面戦争が始まるという理由で避難勧告を出しています。
ここまで読んでいかがでしたでしょうか?
世界の動きを事前にチェックしておくことで、いざ事態が表面化したときにパニックにならずにすみます。国民がパニックに陥らないことで、政府が冷静かつ迅速に対処する可能性が高くなります。というか決定的な状況になる前に、政府の対応を正しく批判するのは国民の義務だろうと思うわけです。
というわけで、今回はシャーマンの戯言ではなく、日本を取り巻くヤバすぎる状況を事実に基づいてできるかぎりわかりやすく分析してお伝えします。
ひとによっては見たくない現実を突きつけられてきついかもしれません。
ここから先を読む場合は自己責任でどうぞ。
台湾有事が起きるとどうなるか
先日、今年の4,5月くらいに米空母5隻が北朝鮮近海に集結というニュースが飛び込んできました。アメリカが保有している空母は11隻、うち稼働しているのは10隻です。5隻もの空母を同時に一か所に集結させるのは1990年の湾岸戦争以来です。
「史上初、空母5隻が北朝鮮近海に展開」米メディア報道 デイリーNKジャパン2/9(金)11:52
https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/dailynk/world/dailynk-160259
このニュースを聞いて鳥肌が立ちました。
これね、米国は本気だということなんです。
このニュースは覚えておいてくださいね。
さて台湾有事が起きれば私たちの生活は一変します。
どういうことでしょう?
3つの問題が考えられます。
① シーレーンが安全でなくなる
② 沖縄、九州および米軍基地のある都市が攻撃対象になる
③ 中国、北朝鮮、ロシアとの三面作戦を強いられる?
ひとつずつ見ていきましょう。
① シーレーンが安全でなくなる
ご存じのとおり、いま現在の日本にはエネルギー資源がありません。そのため原油などの輸入品の半分を中東から紅海、インド洋、マラッカ海峡、南シナ海、バシー海峡(台湾南東部)、太平洋に繋がる海上交通であるシーレーンに頼っています。
ところが台湾有事によってシーレーンの安全を確保できなくなると、インドネシアやフィリピン方面に迂回するしかなくなります。ところが迂回ルートは日数が増えるため大幅に輸入コストがあがったり、状況によっては日本に原油が入ってこなくなります。
原油だけではありません。
シーレーンが封鎖されれば、小麦や大豆などの輸入食料の半分が入ってこなくなります。農林水産省によると日本の2022年のカロリーベース食料自給率38%、つまり残りの62%は輸入でまかなっています。輸入食料がはいってこなくなれば、物価の上昇はもちろん、戦争が長引いて食料そのものの在庫が尽きれば餓死者がでます。
② 沖縄、九州および米軍基地のある都市が攻撃対象になる
これは非常に現実的なシナリオです。
まず米国が参戦する場合、中国が台湾を攻める場合、邪魔になるのは沖縄駐留の米軍です。そこでまず中国は台湾ではなく、沖縄本島の嘉手納基地を攻撃する可能性が高いと言われています。当然、横田基地なども攻撃対象になります。
するとどうなるか?
沖縄本島は日本なので、当然日本は中国による攻撃を受けたと見なし応戦します。住民を守るためにも、この時点で参戦する以外の選択肢がなくなるわけです。
一方米軍が参戦しない場合、中国は躊躇せずに台湾、尖閣諸島を攻撃します。尖閣諸島は日本領土ですから、当然ながら日本との戦争が始まるわけです。さらに中国は以前から沖縄は歴史的に中国の領土だと公言しているので、沖縄を占領することも躊躇しません。
いまの日本に自力で戦う力があるか?
残念ながら答えはノーです。
第二次世界大戦以降、日本が安全だったのは日米安保条約によって米国に守られていたからです。けれど実際に日本が攻撃された場合、米軍が動かない可能性が高くなっているのも事実です。
2021年12月1日、故安倍元首相が台湾で開かれたシンポジウムで「台湾有事は日本有事であり、日米同盟の有事でもある」と言ったのはこうした事実を踏まえてのことです。
③ 中国、北朝鮮、ロシアとの三面作戦を強いられる?
中国は北朝鮮と中朝友好協力相互援助条約を結んでいます。
中朝友好協力相互援助条約の第二条に、
「両締約国は、共同ですべての措置を執りいずれの一方の締約国に対するいかなる国の侵略をも防止する。いずれか一方の締約国がいずれかの国又は同盟国家群から武力攻撃を受けて、それによって戦争状態に陥つたときは他方の締約国は、直ちに全力をあげて軍事上その他の援助を与える。」とあります。
これは相手国が攻撃を受けた際の軍事援助などを定めたもので、事実上の軍事同盟です。そのため中国が沖縄本島を攻撃して台湾有事が起きた際、北朝鮮が中国の支援に動く可能性があります。
さらにウラジオストク以外の東の出口を喉から手が出るほど欲しいロシアの動向も目が離せません。
じつは2021年8月頃、ロシアが日本への侵攻準備をしていたという事実がロシアの内部告発者によって明らかにされています。一般には報道されていないので、この事実を知っている日本人は少ないと思います。
ウクライナ戦争以降、日本はこれまでのロシアとの関係性を捨てて敵対することを選択したため、ロシアの脅威は現実味を帯びています。
ざっくりですが、以上が台湾有事が起きた場合に想定される状況です。
習近平の思惑と内部の敵
さてここで中国の習近平主席に目を向けてみましょう。
習近平国家主席の3期目の任期の終わりは2027年です。
2021年10月の演説で彼はこう言っています。
「台湾問題は中国の内政であり、外部からのいかなる干渉も許さない。祖国の完全な統一という歴史的な任務は必ず実現しなければならないし、実現できる」
統一するために習近平がとる手段は軍事介入による併合、もしくは政治的手法による統一です。
さらに沖縄をいずれは手に入れたいという悲願があります。
なぜ沖縄なのでしょう?
それは海洋進出を目指す中国にとって、沖縄は太平洋にでる玄関口だからです。地図をさかさまにして中国側から見ると、太平洋にでる玄関口を沖縄の島々が塞いでいるのがよくわかります。
ところがいま現在、習近平は国内でいくつかの問題を抱えています。
ひとつは上海閥など敵対勢力との暗闘です。
上海閥の牙城である香港の民主化の弾圧やアリババのシャック・マーへの制裁などは上海閥封じ込めの一環でしょう。また軍内部の粛清がすすんでいて、習近平は誰も信じられない状況だともいわれています。
もうひとつは不動産バブルの崩壊がちかいことです。
中国の地方財政はいわゆる不動産のリース料が70%を占めると言われていますが、不動産価格の下落によって都市部ですら赤字財政に陥っているというのです。
こうした状況を抱えている習近平としては、うかつに戦争をしたくないというのが本音でしょう。けれど台湾を統一して、盤石な基盤を築きたいという思いもあります。もっと言うと、敵が多いだけに弱みを見せたとたん潰されてすべてを失うことを習近平自身がよくわかっています。
だからこそなんとしても統一したい、できれば内部から台湾を乗っとるという手法で事態を打開したいはずです。そこで期待をしていたのが台湾総統選でした。
ところが勝ったのは独立を掲げる民進党の頼清徳で、習近平の期待は裏切られます。
ただ日本の国会の議長にあたる立法院長が統一派の国民党の韓国瑜になったことで、5月の頼清徳が総統に就任すると同時にねじれ国会になる可能性もあるので、内部から崩されていく可能性は否定できません。
台湾の人々の意識は党派にかかわらず独立もしくは現状維持を望んでいます。ここを加味すると内部から崩す政治的な統一は難しいかもしれません。戦争になれば、かれらは徹底抗戦する可能性が高いといわれています。
ネオコンの本気度と一枚岩じゃない米国の思惑
さて台湾有事に関してカギを握るのは米国です。
「今後2027年までの間に中国が台湾に軍事攻撃を仕掛ける恐れがある」
ー米インド太平洋軍フィリップ・デービッドソン司令官(2021年)
「北京政府が台湾の奪取を加速させようとしている」
ーアントニー・ブリンケン米国務長官(2022年10月)
「習主席は2027年までに台湾侵攻の準備をするよう軍に命じている」
ーウィリアム・バーンズCIA長官(2023年2月)
「台湾有事はウクライナや中東で起きている衝突とは比べものにならないものになる。最悪のシナリオに基づき計画を立てるべきだ」共和党の対中強硬派で下院・中国特別委員会の委員長を務めるマイク・ギャラガー議員(2023年11月13日)
このように米国の政府高官や議員、軍関係者が台湾についての談話をことある毎にだしています。また最初に紹介した今年4,5月の米空母5隻を北朝鮮付近に集結させるのもただ事ではありません。
台湾有事が起きた際、米国はどう動くのか?
その答えの一つが空母群の集結でしょう。
もちろん米国も一枚岩ではありません。いま動いているのは民主党のバックにいるネオコン(新保守主義)と呼ばれるグローバリスト勢力です。
かれらは金儲けのために火のないところに煙をおこす、いわゆる戦争屋です。ウクライナ戦争がそろそろ終結に向かう流れとなり、かれらの次のターゲットがインド・太平洋地域です。事実、台湾は米国の兵器産業と提携して自国で米国兵器を作り始めています。
一方で、米国と中国は第二次世界大戦以来、表で敵対しつつ裏で手を結ぶという行為をしてきた歴史があります。
とくに2014年以降、米国は米中合同演習をするなど表向きにも関係改善の動きがあります。
当時、オバマ大統領と習近平との間で、「太平洋を中国と米国で二分しよう」という話し合いがもたれました。
また今年に入ってからは1月25日、中国の王毅外相とサリバン米大統領補佐官がタイで12時間もの密談を行ったという報道もあります。中国は中東情勢で米国に恩を売ることで、台湾問題で自国に有利な状況に持ち込んだ可能性もあります。
さて話を整理しましょうか。
いまの民主党の背後にはネオコンがあり、かれらは戦争を起こすことで利益を得る、いわゆる武器商人です。かれらの行動原理はどちらに正義があるかではなく、どうしたら金儲けできるかです。最悪は米中の間で翻弄された日本だけが悲惨な結果になる可能性もあるわけです。
一方で朝鮮半島付近に空母を5隻派遣するなどの行動でわかるように、ネオコンとは別の原理で動いている勢力もあります。かれらの動きはもう少し情報を集めないと書くことができません。
インドの動向
さらに気になるのはインドの動向です。
インドは中国と国境が接しているため、中国と小競り合いをくり返しています。現在、インド軍は中国国境地帯に9万人の兵を展開。さらに国境付近で米軍と合同演習をするなど、中国に無言の圧力をかけています。
これは習近平にとって非常に嫌な状況です。
なぜなら米軍とインド軍に背後を突かれる不安があるため、台湾に武力侵攻しにくくなるからです。
■Bloombergインド軍、中台衝突想定し調査研究-どんな貢献できるか米国が打診
Sudhi Ranjan Sen 2023年9月8日 16:01 JST
インド政府高官が匿名を条件に明らかにした台湾を巡る潜在的な軍事紛争に対する準備、「多国間協調」政策試す
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-09-08/S0NISXT1UM0W01
■中国の台湾侵攻抑止に「インド」が重要な3つの理由、米有力シンクタンク研究員が大分析
長尾 賢:米ハドソン研究所研究員
ダイヤモンドオンライン
https://diamond.jp/articles/-/314568
日本人が生き延びる方法
さていかがでしたでしょうか?
いま日本が置かれている状況について、台湾有事を中心に台湾、米、中国、北朝鮮、ロシア、インドの動きについて、下記の5つの視点から書いてみました。
1 台湾有事が起きるとどうなるか
2 習近平の思惑と内部の敵
3 ネオコンの本気度と一枚岩じゃない米国の思惑
4 インドの存在
5 日本人が生き延びる方法
いまこの世界は歴史の教科書に載るような歴史の大転換期にきています。
基軸通貨ドル単一だった時代からBRICSの台頭によるドルの衰退、それにともなう勢力図の塗り替えが起きつつあります。
国内を二分する内戦の危機をかかえ、経済的に余裕がなくなっている米国。
派閥間の暗闘をかかえ、経済崩壊が先か、台湾有事が先かという崖っぷちに追い込まれている習近平政権。
したたかな外交戦略でのし上がりつつあるインド。
ウクライナ戦争と移民政策の失敗で疲弊しつつあるEU。
米国に反旗をひる返し始めたアラブ諸国。
イスラエル戦争をきっかけに混乱する中東。
そして東の出口を求めるロシア。
世界は平和でもなければ、正義で動いているわけではありません。
動物的な弱肉強食のルールの中で、それぞれの国が生き残りをかけて戦っています。
こうした状況のなかで、日本政府ははたしてしたたかに勝ち残って国民を守れるのか?
おそらく現政府の力では無理です。
じゃ、どうしたらいいのか?
まずは私たちひとりひとりがニュースに関心をもって、情報を分析して国の行く末を考えることです。こういう視点をもつと、この国のことを本気で考えている政治家を選べるようになります。
まずここがスタートです。
そのうえで、ひとりひとりが自分の大切な人や、この国の美しい自然を守るという覚悟を持つことです。
愛とは感情ではなく意志です。
けっこうシビアな内容を書きましたが、いま時代はそういうところに来ているのだということを認識する手助けになれば幸いです。
2024年2月26日
【ブログ内参考記事】
・心理の専門家が教える戦争の時代を生き抜く技術 1 2022年3月2日
・情報戦とは何か? 【心理の専門家が教える戦争の時代を生き抜く技術 2】 2022年3月4日
・情報戦の手の内を知ろう 【心理の専門家が教える戦争の時代を生き抜く技術 3】 2022年3月7日
・シャーマンの視点でみたウクライナ危機 2022年3月9日
・2021年神示 その2 (2019年11月の緊急メッセを公開します) 2021年1月8日