6 修羅場の向こうにある景色 目覚めたら世界が変わる? 夢使い入門編 実践 夢ワーク「5年前のあの日の悪夢をめぐる冒険③」
先日、ひと足先にメルマガ配信しましたが、ブログでも夢使いシリーズ最終回のお届けです。
夢の話って、心理学や脳科学の分野そのものなんだけど、じつはシャーマンのワークとも関連が深いんです。
たとえばアボリジニの夢に対する取り組み方がすごく面白い。
夢の途中で目覚めてしまって、夢のストーリーが未完成のときはどうすると思います?
みんなにその夢の話をして、夢をみた本人はその夢をクライマックスまで創作して完結させます。部族の仲間は、それを助けます。
アボリジニは夢がたんなる夢ではなくて、現実を生み出す聖なる種であることを認識しているのかもしれません。
これは心理学的にいうなら、潜在意識(無意識)のシナリオこそ現実を生み出す種である、という説明になります。
ま、実際に夢にとりくむときは、フロイト的な臨床っぽい匂いよりも、ハリウッド映画かアニメ、あるいはもっと壮大なファンタジーのスタンスで取り組んだほうが枠組みが外れるし、効果が高いんです(笑。
なにより面白い。
というわけで、「夢使いシリーズ」は、アートと遊びの視点で夢と取り組むためのガイドとして書きました。
さて夢ワーク3回目ですね。
前回は夢にアクセスするための準備をしましたね。
覚えていますか?
夢の中で感じた感情や行動を整理する。
↓
本当に恐れていたものを見つける。
↓
夢の中で本当に欲しかったもの、心から望んでいることを見つける。
という流れでしたね。
それをあぶりだすための質問は以下の5つでしたね。
↓↓↓
①「本当は何を恐れていたの?」
②「過去に似たような出来事や、似たような気持ちになったことはない?」
③「もし思い当たるなら、そのときに言われて傷ついた言葉は?」
④「過去のその出来事で、本当に欲しかったのは何?」
⑤「悪夢の中で、本当はどうなって欲しい? あるいは本当に欲しいものは何?」
ベイリーの場合は、悪夢の中でいちばんつらかったのは修羅場から「逃げた」ことでした。
悪夢でも、現実でも、ベイリーは逃げたことを後悔していて、申し訳なかったと謝りたかったのです。
このように感情をきっちり整理してみると、ここから先、どんなシナリオを創ったらいいのか、見えてきますね。
ベイリーの悪夢の原因を解消するには、大ヒット映画のようなシナリオを描けばいいんです。
この場合は「逃げた」事実は変更できませんが、謝ることによって自分がしでかしてしまったことの責任を引き受けることはできます。
人間は失敗する生きものです。
誰だって苦い思い出のひとつやふたつもっています。
大事なことは、
その苦い思い出を人生の汚点として封印して後悔し続けるのではなく、そこから学ぶことです。
どんな失敗もそれを気づきと学びの材料にできるなら、その経験は、とてつもない強みになります。
「逃げた」という出来事でさえも、大きな糧になります。
でも・・・具体的にどうやって?
明晰夢、つまり「自分がいま夢を見ているんだ」と自覚できる人の場合は、夢の中で実際に「謝る」といった行動をとればいいんです。
それができない場合は、起きている状態で、頭の中で、夢の続きから物語を創って、そこで謝るシーンを追加して完結させればいいんです。
コツは、
ハリウッド映画のシナリオライターになったつもりで常識の枠をとっぱらって、夢の続きを思い描くことです。
そこで自分が本当に望んでいたことを成就させて、その物語を完結させることです。
ロンのような見習い魔法使いを登場させるとやりやすいです。
具体的にどうするかは、
ベイリーの例を見ていきましょう。
はじまり、はじまり~。
↓↓↓
最終回
修羅場の向こうにある景色
6 目覚めたら世界が変わる? 夢使い入門編 実践 夢ワーク「5年前のあの日の悪夢をめぐる冒険③」
夢ワークをやると決めたものの、半信半疑のベイリーは床にすわったまま独り言ちた。
「夢の中に、はいるなんてできっこないよ。あ~やっぱりぼくは頭がおかしくなっちゃったんだ」
「何をぶつぶつ言っているの? さあ、いくよ」
ロンはベイリーの腕をつかむと、
ふわっと宙に浮きあがった。
「えええ???」
次の瞬間、あたりが真っ白になったかと思うと、目の前に見覚えのある会議室の光景が浮かんだ。
白い会議室に居並ぶ役員たちに囲まれて、肩を落としてちいさくなっているベイリーの姿が見える。
「うわ・・・悪夢と一緒だ」
「そうだよ。ここは君の悪夢の中さ。あそこにいるのは、いつもの悪夢のなかにいる君」
「ああ・・・見てられない」
ベイリーが目をおおったとたん、重役たちに囲まれていたDreamベイリーは会議室を飛び出した。
「あっ・・・! 逃げちゃだめだ! おい!」
ベイリーは思わず叫んだ。
その声はもうひとりのベイリー、つまりDreamベイリーには届かない。
Dreamベイリーはどこまでも走っていく。
「だいじょうぶだよ。いつもの橋のところで君は止まるから」
そう言って、ロンがウインクした。
さあ、ここからが腕の見せ所ですよ。
いつものベイリーの悪夢のラストの場面ですね。
気がつくと、Dreamベイリーは橋の上にいました。
遠くに沈んでいく夕日が見えます。
「ああ・・・自分はなんてことをしてしまったんだ・・・」
涙がとめどなくあふれてくる。
絶望と後悔に胸をえぐられそうだ。
ロンとベイリーは空中からそんなdreamベイリーを見下ろしていた。
「ベイリー、この続きはどうしたい?」
ロンが耳元でささやいた。
「ぼくは・・・」
ベイリーはこぶしを握りしめた。
「ぼくは・・・もういちど会議室に戻って謝りたい。
謝ってすむ話じゃないのはわかっているけど、それをしないと前に進めないんだ」
「そうこなくっちゃ」
ロンがパチンと指を鳴らすと、
場面が変わった。
そこはさきほどDreamベイリーが逃げ出した会議室だった。
どうやらDreamベイリーが部屋を飛び出してから30分ほど経過しているようだ。
戻ってきたベイリーを見て、役員たちが冷たい目を向けた。
「なんだね、君は。我々の質問にも答えずに、飛び出していったくせに、よくのこのこ帰ってきたな」
中央に座っていたCEOは、その言葉を制すように片手を上げると、じっとベイリーの顔をみつめた。
「話を聞こう。ベイリー」
Dreamベイリーはぎゅっとこぶしを握り締めた。
膝ががくがくして、心臓が口から飛び出しそうだ。
(ああ・・やっぱり無理だ・・・たすけて)
はらはらしながらその様子を見ていたベイリーは、気がついたらDreamベイリーの両肩をしっかりつかんで、いまにも倒れそうな彼の身体を支えていた。
「だいじょうぶだ。しっかりするんだ」
Dreamベイリーがびっくりして振り向く。
「君は誰?」
「ぼくは君だよ」
「ぼく?」
「ああ。よく聞くんだ。たとえ、世界中の人間が君を非難したとしても、ぼくだけは君を責めない。ぼくは何があろうと、君の味方だ」
ベイリーの目がまんまるになったと思うと、その瞳から大粒の涙があふれてきた。
「ぼくは・・・ぼくは・・・ずっと怖かったんだ。
たくさんの人に迷惑をかけて、取り返しのつかないことをしてしまった。
もうぼくの居場所はどこにもないんだと思うと、このまま消えてしまいたいと思っていた」
ベイリーは目の前に自分をぎゅっと抱きしめた。
「だいじょうぶだ。ぼくがいる。
さっきも言っただろ?
ぼくは何があっても、ぼくの味方だ」
Dreamベイリーがうなずいた。
「さあ、勇気をだして。ぼくならできる」
ベイリーはもうひとりの自分の手を握った。
「一緒に運命の扉をあけるんだ」
Dreamベイリーは黙ってうなずくと、ベイリーの手をぎゅっと握り返した。
「申しわけありませんでした」
Dreamベイリーとベイリーは深々と頭を下げた。
保身のために重大なデータをスルーしたこと、
その結果、多くの人に迷惑をかけたこと、
そして御前会議で逃げたこと、
取り返しがつくことではないし、
その結果はひきうけるしかない。
いまの自分にできることをやるしかない。
ふたりのベイリーは心の底から謝った。
謝りながら、ベイリーは心の中にあった重いしこりが溶けていくのを感じた。
そのあと二人のベイリーは関係者ひとりひとりに謝った。
もちろん恋人のシャーリーにも。
気がつくと、ベイリーは部屋の中に戻っていた。
なんだか心の中があったかい。
「どうだい? 気分は?」
「まあまあかな」
「ふうん。あとは君のパパだけだね」
「親父か・・・そういえば家を出てからもう10年以上会ってないなあ」
ふと懐かしい父親の顔が浮かんだ。
「さっきみたいに、夢ワークでシュミレーションする?」
ベイリーはちょっとのあいだ考えていたが、やがてゆっくり口をひらいた。
「いや・・・現実の世界で、ちゃんと会いにいってくるよ」
「ひとりでだいじょうぶ?」
「だいじょうぶだって。
なんだかさ、気がぬけたっていうか、すごく楽なんだよ。
自分なんか最低な人間だと思っていたけど、なんか、もういいやって思えるんだ」
「ほんとう?」
「ああ」
ロンの顔がぱっと明るくなった。
「ロン、ありがとう。君のおかげだ」
「あ~よかった! それじゃぼくは帰るよ」
ロンはぴょんと窓のさんに飛び乗った。
「ロン! どこに?」
「15年後の未来に」
「15年後?」
「うん。またね! パパ!」
ふっとロンの姿が消えた。
(15年後の未来・・・? パパ・・・?)
ベイリーは呆然とロンの消えた窓の向こうの空を見つめた。
そのときベイリーの携帯が鳴った。
電話・・?
5年前のあの日からベイリーは誰とも連絡をとっていなかった。
電話帳の番号をぜんぶ削除していたので、電話の主が誰なのかもわからない。
ベイリーはおずおずと携帯に手を伸ばした。
「もしもし、ベイリー」
「・・・え? シャーリー?」
それは懐かしいシャーリーからの電話だった。
(おわり)
↑↑↑
はい。ベイリーの物語はここまでです。
いかがでしたでしょうか?
物語風に書きましたが、夢ワークの具体的な方法はわかりましたか?
ベイリーの物語はひとつの事例ですが、こんな感じで創造力を膨らませて、取り組んでいただけたらと思います。
ちなみにこの夢ワークはアボリジニの夢に対する取り組みをヒントに、心理学と脳科学、それにシャーマニックな方法を掛け合わせた
私のオリジナルワークです。
【まとめ】
1、夢ワークは悪夢や気になる夢を題材にして、ふだんは気が付かない心の奥にある潜在意識(無意識)にアクセスするのに最適。
2、具体的には、いま夢を見ていると自覚できる人は夢の中で自分は万能だと決めて、恐怖の対象と対峙する。
3、それができないひとは、ベイリーのように起きているときに夢の続きを作ってみる。
4、その方法は以下の手順。夢ワークで問題を解決していく前段階として、夢の中で感じた感情や行動の根本動機を見つけることがポイントです。そのための便利な質問は以下の5個。
↓↓↓
「本当は何を恐れていたの?」
「過去に似たような出来事や、似たような気持ちになったことはない?」
「もし思い当たるなら、そのときに言われて傷ついた言葉は?」
「過去のその出来事で、本当に欲しかったのは何?」
「悪夢の中で、本当はどうなって欲しい? あるいは本当に欲しいものは何?」
5、夢の続きから物語を創って、未完成の物語を完成させる。
夢使い入門編はとりあえずおしまいです。
本当は本1冊書けるくらいネタはあるんですが、それはまたこんど。
そうそうヒーローズジャーニー講座を開催してほしいという有難いお申し出をたくさんの方からいただいていまして、年内開催できるかな~と思っていたんですが、できそうにないです。
メールくださった方、すいません。
オンライン講座も来年に持越しです(^^;
どうぞ暖かい目で見てやってくださいませ。
2020年12月20日
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Comment
chiaki さま
了解です。
コメントありがとうございました。
心の中にしまっておきます^^