伊の暗号1 2004年伊平屋島・クマヤ洞神事

夢をみた。
1998年8月、それは世の中全体が世紀末に向けて奇妙にはしゃいでいる頃だった。
わたしは夢の中で不思議な老人に出会った。
「○月○日までにそこに行け」
そう言われてふと足元を見ると、数枚の紙が落ちていた。
拾いあげると、それは地図だった。大きな日本地図が一枚と数枚の拡大地図。
沖縄諸島を中心としたその大きな日本地図を眺めていると、ふと沖縄本島らしき島の周辺のいくつかの島が気になった。その中のある地点に地名らしき漢字が書いてある。
(伊・・・・?)
☆ ☆ ☆
こんにちは!
今日から10月ですね。
冒頭からいきなり夢の話ですいません。
この夢を見たのが1998年。その4年後に 『自伝シャーマンへの道』でも書いた宮古島に行くことになるんですが、あの自伝はかなり内容をシェイプしているので、じつは書いていないことのほうが多いんです。
そのうちのひとつが伊平屋島に関連する話です。
というわけで本日から3回にわけて、『伊の暗号』と題して伊平屋島の話を連載しますね。
【もくじ】
1 2004年伊平屋島・クマヤ洞神事
2 禊、伊平屋島の海に潜る
3 考察・神武天皇の沖縄伊平屋島誕生伝説、そして出雲のニギハヤヒ
本日は第一弾『伊の暗号1 ~2004年伊平屋島・クマヤ洞神事』をお届けします。
これはいまのブログを開設する前の2002年から2004年くらいまで運営していたホームページ『カイロンの翼』に、2004年6月に掲載した伊平屋島神事の記事です。
伊の暗号1 2004年6月16,17日 沖縄 伊平屋島・クマヤ洞神事
1日目 クマヤ洞
さてみなさまは伊平屋(いへや)島という島をご存知だろうか。
沖縄県は簡単にいうと、大東諸島、宮古諸島、八重山諸島、そして本島とその周辺の島々の四つのエリアに分かれるが、伊平屋島は沖縄本島からフェリーに乗って1時間20分ほどのところにある沖縄最北端のちいさな島である。地図でみると奄美やヨロン島に近い。
それは数日前の祈りのときに始まった。
何かが強い力でわたしを呼ぶ。
同時にエメラルドグリーンの海と真っ青な空にそそりたつような大きな岩壁が見えた。その岩をじっと見つめていると、まるで岩の亀裂のようなちいさな入り口が見える。
(・・・・洞窟・・・・・?)
ふいに「伊」という文字が浮かんだ。
――伊・平・屋
「伊平屋?」
こうして最初のアクセスから数日後、わたしは那覇行きの飛行機の中にいた。
こんな旅の仕方は今に始まったことじゃない。昔からそうだった。
そもそもわたしが沖縄に興味をもつようになったのはここ数年のことだ。
それも最初は夢から始まった。
あれはちょうど6年前、世の中全体が世紀末に向けて奇妙にはしゃいでいる頃だった。
わたしは夢の中で不思議な老人に出会った。
「○月○日までにそこに行け」
そう言われてふと足元を見ると、数枚の紙が落ちていた。拾いあげると、それは地図だった。大きな日本地図が一枚と数枚の拡大地図。
沖縄諸島を中心としたその大きな日本地図を眺めていると、ふと沖縄本島らしき島の周辺のいくつかの島が気になった。その中のある地点に地名らしき漢字が書いてある。
(伊・・・・?)
朝起きてから妙に印象的な夢を見たなあと思いながらも日々の忙しさにかまけて、その夢に関してはずっと忘れていたのだ。
ところがひょんなことから沖縄にかかわりを持つようになった。次第に深みにはまるように、いくつかのシンクロが重なりながら、とうとう沖縄本島に行くことになった。
その当時はへたながらも小説を書いていたので、そのための取材という名目だった。沖縄行きを決めたとき、夢の中に出てきた地名がすごく気になった。あれほどクリアーに生々しく夢の内容を覚えているのに、場所と地名の部分だけがまるでモヤがかかったように思い出すことができなかったのだ。
いま思えば、その当時はまだ伊平屋島に行くタイミングではなかったということなのだろう。
どちらにしても、それを皮切りに年に1,2回は沖縄に行くという日々が始まった。
さて那覇に着いたのは2004年6月16日(水)の午前中。
思った以上に日差しが強い。
じつはこの季節に沖縄入りするのははじめてなのだ。
空港からタクシーでひたすら北に3時間ほど走ったところにある運天港発のフェリーに乗って、伊平屋島に着いたのは夕方の4時半だった。

前泊港 左手に見える赤い屋根がターミナル
タラップを降りると、今夜の宿である「ホテルにしえ」の若奥さんが迎えにきていた。
いったんホテルに行ってチェックインをすませ、大城レンタルでスクーターを借りてさっそくクマヤ洞へ向かう。
ホテルで教えてもらった県道をトコトコとスクーターで北へ向かって走る。
どこまでも続く一本道の両側にはのどかな田んぼが広がり、対向車はほとんどいない。
夕方といっても沖縄は東京とは1時間ぐらい時間がずれているせいか、あたりは真昼のように明るい。

クマヤ洞へ
スクーターで15分ほど走ると、天にそそりたつような岩が見えてきた。
クマヤ洞だ。
洞窟の前の道路わきにバイクを止めると、ヘルメットを脱いだ。
とたんに頭が軽くなる。
見上げるような大きな岩山の上のほうに洞窟の入り口があるらしくて階段が続いている。
わたしは額に流れる汗をぬぐいながら急勾配の階段をゆっくりと登った。

クマヤ洞の入口
洞窟の入り口は人ひとり入るのがやっとというぐらい狭く、頭上から水が染み出している。
岩に触れようとした瞬間、はっとした。
とてつもなく重い、突き刺さるようなエネルギーを感じたからだ。
一瞬、なかに入るのを躊躇した。
それは恐怖・・という感覚に近かった。
勇気を振り絞って気持ちを切り替える。
上から滴り落ちる雫を避けるように体をそらせて狭い入り口を通り抜け、一歩一歩足もとを確かめるように慎重に急勾配の岩を下りた。
高さ5メートル近くある天井のせいか、中は思ったよりずっと広い。
薄暗い洞窟内部から入り口を振り返ると、そこだけ光が差していて、とても神秘的な眺めだ。
わたしは平たい岩の上に腰を下ろした。
目をとじる。
洞窟内の重たさと混じりあい、ともに在れと祈る。
ここには昔、神々が争ったときにその中の一人の女神が洞窟に閉じこもってしまったという天の岩戸伝説がある。江戸時代の国学者・藤井貞幹が神武天皇の誕生地はここ伊平屋島ではないかという説を唱えて本居宣長と論争したという話は有名だ。
クマヤ洞窟は2億8000万年前にできた珪(チャート)岩という固い岩が風や波によって削られできたものらしく、地質学的にみてもとても貴重なものらしい。
1時間ぐらい祈っていただろうか。
いつのまにか重たい気配は消え、あたりはとてもまろやかで清浄な空気に満ちている。
気がつくと、すでに時計は午後6時をまわっている。
わたしはズボンについた砂を払って立ち上がると、来たときと同じ急勾配の岩を登って洞窟の外にでた。
あの不思議な夢を見てから、ロールプレイングゲームのように地図にのっていたポイントをひとつひとつ通過しながらこの場所にたどり着くまでに6年近くの月日が経った。2004年現在、ようやく全部消化してみると、あまりにも自然な流れに乗ってここまで来たような気がして特別な感慨はない。
でも自分の中でひとつだけ確かな感覚がある。
それは新しい地図を手に入れたということ。
きっと旅の終わりは次の旅の始まりってことなのだろう。
外はまだ十分に明るい。
せっかくだから、少し先にある灯台とそのすぐ近くの海岸に行ってみることにした。

灯台

灯台のすぐそばの海岸
灯台のすぐそばの草地から海を眺めていると、ふと誰かに呼ばれたような気がして振り向くと、夕方の穏やかな太陽があった。

振り向くと、穏やかな太陽があった
宿に帰ると夕飯の支度ができていた。
美味しく食事をいただいたあと、夕涼みがてら宿のすぐ目の前の海岸におりてみた。
真っ暗な海にところどころ明かりが浮かんでいる。漁火というやつかな?
空を見上げると、そこには降るような星空!
(わ・・・・・あ・・・・・!)
こんなにいっぱいの星ははじめて見た。
与那国島も宮古島も同じように星空は美しかったけど、ここは明かりが少なくて夜が暗いせいなのだろう。流れ星(?)だか、人工衛星だかわからないけど、奇妙にジグザグ飛んでいるちいさな光がいくつもある。
あ、UFOか。
2004年6月21日第一稿、2025年10月1日再掲
⇒『2 禊、伊平屋島の海に潜る』につづく
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