魂と潜在意識の物語 4 「ミッション 癒してゆく力~サトルの物語Ⅲ」
魂と潜在意識の物語
4 ミッション 癒してゆく力 サトルの物語Ⅲ
わたしたちがこの世界に生れてきた目的はなんでしょう?
古今東西、多くの人々がこの難題に取り組んできました。
わたしはいま51歳ですが、ひととして生きてきた月日とシャーマンとしての経験から思うのは、わたしたち人間は喜びを感じるため、成長するため、進化するため、そしてこの世界に貢献するために生れてきたのだと感じています。
これまでお話してきたように、わたしたちはこの世に産声を上げ、それぞれの環境の中で成長してゆきますが、100%恵まれた環境はありません。誰もが与えられた環境の中で笑ったり、怒ったり、自分の言動が親の怒りを買わないかびくびくしたり、ときには不当な扱いを受けて傷ついたりしながら生きています。
トラブルや挫折、劣等感など、心が深く揺さぶられたときに、その気持ちを抱えた自分自身と向き合うことで、わたしたちは自分の考え方の癖に気づきます。考え方の癖というのは「1 潜在意識の不思議」で書いた落とし穴のことです。
それを認め、さらに一歩踏み出して新しい行動を起こすには、大きな勇気を必要とします。
それでも潜在意識の奥に存在する私たちの魂はそれを渇望しているのです。
なぜなら私たちの本体である魂、すなわちスピリットは、生きたい、癒したい、成長したい、この世界に活力を注ぎ込みたい、貢献したい、意味のある人生を送りたい、生きている手ごたえを感じたい、生まれてきた天命、すなわちミッションを遂行したいと願っているからです。
ミッションとはなんでしょう?
一般的にミッションというと、天職を指すイメージがありますが、ここでいうミッションはそんな狭い世界の話ではありません。ひと言でいうと、ミッションとは生きる意味、心の底から喜びや納得感を得られるそれのことです。
多くの場合、ミッションはきわめて個人的な、自分自身の心の傷やこだわり、あるいは病気などをとおしてやってきます。突然の発病やトラブル、ずっと苦しんできたこだわりなど、一見ネガティブに思える出来事と向き合い、受けとめ、癒し、その結果新しい行動パターンや考え方を創造する、という一連の流れをとおしてミッションは達成されてゆきます。
わたしたちが自分自身の傷と向き合い、それを癒すことは、じつは同時にこの世界の傷を癒すことでもあるのです。
なぜならあなたの心の傷や考え方の癖はあなた個人の中で生まれたあなた特有のものではありません。
社会的な常識や習慣、親をはじめとした先祖代々受け継がれてきた家系的なものなど幾重にも重なった環境の中で、その影響力を無意識に取り込みながら作られたものがあなたの考え方の癖であり、傷だからです。
だからこそあなたが自分自身を癒すことで、それはこの世界を癒す力となって世界に流れ込み、新しい創造的な風景をもたらすのです。
それがあなたのミッションです。
ミッションへの誘いはしばしばトラブルをとおしてやってきます。
物語で言えば、サトルがプレゼンテーションの直前に胃痙攣で倒れたところが象徴的です。
彼は音楽を捨て、心が納得しないまま仕事に流されている自分を感じていました。
魂はずっと彼に「本来の自分を思いだせ」というメッセージを送り続けていたのですが、彼はその声に耳を傾けることなく、無視し続けていたのです。
ここで大事なのはミュージシャンになることがサトルのミッションではないということです。
生業はサラリーマンでもミュージシャンでもどちらでもいいのです。
大事なのは、心の底からあふれる旋律を封じ込めないこと、自分の中のそれを感じ、それと共に生きる自分を許すことこそが、サトルのミッションその1なのです。サトルがそんな自分にOKをだしたとき、彼を取り巻く現実が変わり始めます。
自己間関係理論で有名な心理学博士スティーブン・ギリガンは、「才(ギフト)とよばれるものにも、傷と呼ばれるものにも、ひとしく焦点を当てること。行動せよという呼びかけは、しばしば難題や危機、未来像、困っている誰かから発せられます」と言っています。
またヒーローズジャーニー(英雄の旅)の著者ジョゼフ・キャンベルは「自分の感じる至福に従え」と言っています。
もしもあなたが日々の生活に納得していないなら、あるいはトラブルのど真ん中にいるのなら、それは魂の呼びかけです。
「本来のミッションを遂行せよ」
その方法はこれまでお話してきたように、自分の外に求めるのではなく、自分の心の痛みを発している部分に目を向け、心の訴えに耳を傾けてあげることです。その方法のさわりは「3 潜在意識をコントロールしよう」に書きました。試してみてください。
もちろんその先に手助けが必要ならいつでも言ってください。
わたしはたぶん、その方法を教えることはできます。
でもその先はあなた自身の足で歩いていってください。
新しい時代は、もうそこまできているのですから。
最後にサトルがどうなったのか聞いてくださいね。
最終章 サトルの物語Ⅲ
宮古島に着くとサトルは翌日からすぐに取材に取りかかった。
午前中の取材が終わり、夜は酒造メーカーが紹介してくれた居酒屋をまわるつもりだった。
そんなわけで、夜まで時間があいたので、サトルは暇つぶしに宿のちかくの海岸にいってみることにした。
畑の真ん中の小道を歩いてゆくと、大きなガジュマルの木があったガジュマルの木には赤い顔に赤い髪の子供の姿をした妖怪キジムナーが棲むといわれ、青々と生い茂る濃い緑がいかにも南国らしい。
「ガジュマルの木・・・?」
サトルはどきっとした。
突然、いても立ってもいられないような気持ちに駆られて、サトルは足早に歩きはじめた。
心臓が早鐘のように鳴っている。
畑の向こうに白砂の急坂が見えてきた。
サトルは一気にスロープを駆け上った。
なんども深い砂に足をとられ、そのたびに転びそうになった。
日ごろの運動不足を後悔しながらも、ようやくいちばん上までたどりついた瞬間、サトルは息をのんだ。
かすかな潮風の匂い。
ゆるやかな砂のスロープの向こうに、どこまでも続くエメラルドグリーンの透明な海がひろがっていた。
それは、幾度となく夢でみた風景だった。
この風も空気の匂いも、足のうらにへばりつく砂のざらざらとした感触さえも、すべて知っていた。
そして――
サトルはいっきに急坂を駆け下りた。
ちいさな予感に、はちきれそうになる胸の高まりを押さえながら夢中で走った。
そんなにあわてなくても、逃げたりしないって・・・。
誰かが耳もとで笑った気がしたが、かまわなかった。
波打ちぎわに立っていたミーコはなにかが動きはじめる気配を感じて、ゆっくりと振り向いた。
その瞳がわずかにおおきくなった。
砂山の向こうから、誰かが息をきらしながら駆けてくる。
(あれ・・・)
遠目でよくわからないが、こんな光景を前にもどこかで見たことがあるような気がした。
(なんだろう・・・? この感じ・・・)
坂を降りきったところで、いきなり男がころんだ。
ミーコの瞳にびっくりしたような表情が浮かんだ。
男はあわてて立ち上がると、ジーパンについた砂を払った。
一瞬、男と目があった。
「へんな奴・・・」
ミーコは声をあげて笑いだした。
その胸の奥に、どこかなつかしさにも似た予感を感じながら――。
(了)
いかがでしたでしょうか? 2002年当時、わたしが初めて運営した「カイロンの翼」という音楽と絵と詩とヒーリングのホームページに掲載していたコラムです。11年前の文章は表現不足の部分もありますが、基本的なコンセプトは変わっていないので、じゅうぶん参考になるかと思うので、あえてほぼ原文のままアップしました。「4 ミッション 癒してゆく力」の解説部分は全面書き直しました。
2013年6月8日
■魂と潜在意識の物語
魂と潜在意識の物語 1 「潜在意識の不思議 ~サトルの物語Ⅰ」
魂と潜在意識の物語 2 「soul 魂 ~ ミーコの物語」
魂と潜在意識の物語 3 「潜在意識をコントロールしよう~サトルの物語Ⅱ」
魂と潜在意識の物語 4 「ミッション 癒してゆく力~サトルの物語Ⅲ」
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