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限界を突破する力 2013

 
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脳科学と心理学に精通し、16年間で1万人以上の相談にのってきたシャーマン。「信じる力は、世界を変える」がモットー。自分自身を信じる力・愛を受け取る力を育てる方法、激動の時代を乗り切る極意を教えている。 著書「なぜ眠り姫は海で目覚めるのか? 超ネガティブ思考を解除する3つのメソッド
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 誰でも一回ぐらいは自分の限界を感じたことってあるよね。
 たとえば仕事やスポーツの分野で、いくら練習してもなかなか上達しないとか、どうしてもプロジェクトがうまくいかないとか。さらにはいまの社会情勢を見て、どうせ何をやっても変わらないという諦めや不安を感じている人も多いと思う。
 

 限界を感じたり、不安を感じているのを自覚しているひとはだいじょうぶ。
 自覚しているってことは、すでに限界を突破する準備ができているってことだから。

 

 問題は自分が不安や恐怖を感じていることに無自覚であったり、そこからぐいっと目をそらして「面白いこと」「わくわくすること」「(自覚できる範囲の表面的な)心が喜ぶこと」を追い求めている心理状態にある場合だ。わくわくが悪いと言っているわけではない。現実と向き合わない快楽や表面的な面白さの追求は、深層心理に潜む不安の裏返しであることが多い。
 

 すでに多くの人は無意識に気づいている。
 
 政治の動きがおかしいことも、足元の地面が揺れそうなことも、福島第一原子力発電所の事故はまったく収束していないどころか、そのメドすらたっていないことも、それが何十年か先の私たちの子や孫の世代に恐ろしい影響を及ぼすかもしれないことも、なんとなく気づいている。
 

 けれど、それを意識することは精神的な苦痛を伴う。
 なぜなら意識した瞬間、それまでの生活を根本から見直す必要に迫られるからだ。
 

 人間にとって、じつは良くも悪くも変化は最大のストレスになる。
 日本人の多くはストレスに対処する方法を学ぶ機会もないまま大人になっているので、こうした、存在そのものを脅かす情報に対してはシャットアウトするしかなくなるんだよね。
 
 こういう精神状態のとき、人間は目先の食やレジャー、手軽な祈りなどに逃げる。あるいはカリスマ的な指導者やインスタントな教えにのめりこむ。これが最悪な方向に動くと独裁者の誕生になる。
 
 

 でも逃げ切れないよ?
 
 見て観ぬふりを決め込んでも、シビアな現実は消えてなくなったりしない。それどころか解決に向けた行動をしていないんだから、ある日突然事態が表面化する可能性が高い。「思考は現実化する」とか、「楽しいことに目を向けると現実が楽しい方向シフトする」という考え方が流行っているけど、これ、大きな落とし穴がある。

 
 正確には、
 
 「無意識の思考は現実化する」
 
「不安の代償行為としての楽しさではなく、不安を生み出す現実と向き合いつつ、真の喜びに目を向けて行動するとき、現実が真の喜びにあふれた状態へとシフトしてゆく」

 

 魂と潜在意識の物語シリーズで書いたように、表面的な楽しさとか面白さではなく、潜在意識レベルでの喜びや楽しみ、不安、恐怖等を生み出す思考がわたしたちの人生のシナリオを決める。
 

 たとえば表面では原発の事故は過去の出来事として今を楽しんでいるつもりでいても、潜在意識の叡智は事実を正確に把握している。ここで意識的に潜在意識から上がってくる情報を精査し、事実と照らし合わせてより客観的に吟味することで、はじめて叡智を叡智として使いこなすことが可能になる。
 

 ところが多くの場合、潜在意識の叡智から上がってくる情報を意識的に受けとるという訓練を受けていないため、無自覚な状態で心の癖というフィルターを通してなんとなく受け取ってしまう。
 

 その結果、このままいくと体に影響が出るかもしれない、もう日本の未来はないかもしれないという極端な思考と、そこから生まれる目に見えない不安や恐怖は、解決策も持たずに澱のように潜在意識の奥底に沈んでいくことになる。
 

 無意識の思考は現実化するという法則に従うなら、いずれそれは現実になる可能性は大だ。
 潜在意識はそういう力を持っているんだよ。
 

 ま、百歩譲って、潜在意識にそんな力がなかったとしても、家の中で火事が起きているのに、火事が起きていないと信じ込んで過ごしていたら、あっという間に家中に燃え広がって、家は全焼、自分も煙に巻かれて死んでしまうのは子どもでもわかる。
 

 大事なのは事実を直視したうえで、それを生きる力に変えられる考え方をすることなんだよね。
 
 このように事実と向き合い、それをきっかけに自分の思考をよりニュートラルなものに再編成する方法認知行動療法をはじめ、癌の心理療法として有名なサイモントン療法などでも取り入れられている。
 
 癌というエマージェンシーな状況に置かれた個人が自分の命と向き合って、心と人生を再生してゆくための方法としてもとても大きな力があるんだよね。
 

 これ、癌に限らない。
 いつの頃からか日本人は都会から闇を追い払い、死を日常から抹殺した。永遠に死なない、暗黒の闇も存在しないと思い込んで、ひたすら経済的な利益を追求してきたんだよね。そのなかで弱者は役に立たないパーツとして切り捨てられ、自分よりも弱い者をいじめることでストレスを解消する社会になってしまった。
 
 そうした社会の在り方にとどめを刺したのが2011年3月11日の東日本大震災だった。多くの人々が亡くなり、それまで隠されていた社会構造が白日の下にさらされ、わたしたちは現在の文明がいつでも滅亡する危険性を内包していたことに気づいたはずだ。
 
 私たちの手で、あれを止めない限り、誰も止めてくれないよ?
 
 本当にわたしたちひとりひとりが自分自身と現在の社会全体が共有している問題と向き合い、新しい文化に移行することを望むなら、わたしたちは限界を超えることができる。
 なぜなら最初から限界など存在しない。
 限界とはわたしたちが自分自身に対してダメだしをしたときにつくられる囲いに過ぎないのだから。
 

①まずは不安を感じている、あるいは快楽を追及している自分の心の動きに気づくこと。
 
②それを感じつつ、その奥にある不安や恐怖といった感情に気づいて、その感情が自分の中にあることを認めてあげる。
 
③そしてその感情や思いはどんな状況で感じるのか紙に書いてみると、その感情を生み出している思い込みや心の癖を見つやすい。
 
④自分の思い込みに気づいたら、もっと公平で愛を持ったニュートラルな見方はできないか、親友にアドバイスするつもりで考えてみるといいよ。

 

 硬直した思い込みや枠組みから解放されると、わたしたちはそれまでよりずっと柔軟な見方ができるようになる。
 ここまでこれば、解決策がでてくるのは時間の問題だ。
 
 もしも自分の心の中に上記の要素があると感じた方は、上記の方法(認知行動療法プチビリーフチェンジ)を試してみるといいかもしれない。
 
 きっと人生が大きく変わるよ。
 危機的状況にあるいまこそ、これまで自分自身に架していた限界を突破するチャンスだ。
 
 ねえ、見てみたくない?
 
 まだ誰もが見たことのない新しい世界を。
 その一歩目を拓く鍵はあなた自身の中にある。
 
 

 おすすめ記事
 郵政民営化で荒れに荒れた2005年の夏にオフィス・マツナガさんのところに寄稿した記事です。
  「1986 夏」
 その当時、私は峠族でした。。。

 ぜひ読んでみてください。
  
2013年7月20日

 

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