闇の片鱗
現役雑誌記者による、ブログ調査分析報道さんの2/28付けの「素人か、玄人か」という記事はおもしろい。個人的にツボにハマてしまった。
素人とプロのけじめって、けっこう大事だよね。
あれはもう十年以上も前の話になる。
当時わたしは占い師の看板をだしていた。表向きはタロット・ヒーリング・霊視・透視などのいわゆる不思議系占い屋。一歩中にはいると、必要に応じて心理カウンセリングやコーチングから浄霊・霊相談まで幅広くやっていたんだよね。
事の発端は知り合いの占い師仲間からもちこまれた相談だった。
「友人が最近、どうも変な連中から念を受けているような気がするんだけど、見てほしい」
こりゃおだやかじゃないよね。
詳しく話を聞いてみると、彼女は貿易関係の仕事をしていて、おもにアジア系の会社を相手に取り引きをしているのだという。ところが最近、相手の会社との交渉が難航していて、そのせいで疲労がたまっているのかなんなのか、突然左腕が異様にむくみ始めたっていうんだよね。医者に行ってもさっぱり原因がわからない。
当時ヒーリングはいまほどポピュラーじゃなかった。でもそれなりに効果のあることは少しずつ理解され始めていたんだよね。
さっそく遠隔でヒーリングすることになった。当時は今と違って、わりと気軽に遠隔ヒーリングってのをやっていたんだよね。
ヒーリングを始めたとたん、電話の向こうで「きゃー！！」という叫び声が聞こえた。
びっくりして思わずどうしたの？と聞くと、
「腕の中を何かが移動している！！！」
肩からスタートしてゆっくり指先に向かってヒーリングしていたんだけど、ヒーリングを始めたとたん、肩にあった黒い塊が光から逃げるように指先に向かって移動し始めたせいだった。
ひととおりヒーリング（・・・・っていうか、浄霊＾＾；）が終わると、あれほどひどかったむくみはすーっとひいてしまった。この間15分ぐらいかな。器質的な障害や病気じゃなく、ネガティブエネルギーと呼ばれる霊的なものが原因ならヒーリングの効果はその場ででる。彼女は何度も礼を言って電話を切った。
ところが話はこれだけじゃ終わらなかった。
翌日、彼女から電話がかかってきて、今度は頭が痛くて立ちくらみがひどいって言うんだよね。今なら好転反応に間違いないんだけど、この当時は好転反応がでるほど強い力をもっていなかったので、ヒーリング後に痛みがでるケースはまれだったんだよね。
どうもおかしい。病院で精密検査を受けた結果、異常なしであるってことは、心因性か、もしくは外部からのネガティブエネルギーが原因ってことになる。彼女を霊視すると、腕はきれいだけど、頭の辺りに黒いもやがかっている。たくさんの方をヒーリングしてきたけど、彼女の場合、何かが違うんだよね。
結局、遠隔では危険と判断したわたしは友人も含めて三人で会って、直にヒーリングをすることにした。
さて当日ヒーリングを始めて、すぐに気づいた。
いくらエネルギーを送っても、まるで闇の補給源があるかのように、次から次へと黒いネガティブエネルギーが彼女の体の中に入ってくるんだよね。
おかしい。
ふと見ると、彼女は水晶の数珠を左腕にはめていた。
そしてその水晶からどす気黒い邪悪な波動が吹き出ているんだよね。
「その数珠、どうしたの？」
「これですか？ 付き合っている彼にもらったんです」
・・・・おい。
「変わったプレゼントだね」
「彼はいわゆるパワーストーンの販売もやっていて、これは彼の会社の取引先の会社から原価で譲り受けたものなんだそうです。特別に成功するパワーをこめてもらったって言っていました。その会社が、今のうちの取り引き先なんですよ。このところちょっとトラブっていますけどね」
そりゃつまり、こういうことか？
相手会社←←トラブル→→→彼女（の会社）
↓ ↑
↓→→取り引き→→→→→→→彼
水晶のブレスレットをじっと見つめると、三匹の赤い蛇が飛んでいるビジョンが見えた。さらにいくつかの情報が意識の中にはいってきた。
「もしかして取り引き先の会社に○という苗字の方がいない？」
「あ、それ相手会社の社長ですよ。うまくいっているときは、よく飲みに連れて行ってもらいました」
（――まいった）
彼女のトラブった相手会社はアジア系の裏組織とかなり太いパイプをもっていた。最初はいいけど、ある時期を越えると本性をあらわして、最終的に骨までしゃぶられる。大陸に進出した日本企業が泣き寝入りするって話はちらほらとは聞いていたけど、まさかそれを目の当たりにするとは思わなかった。
おまけにこの会社の場合、いわゆる呪術師とか祈祷師とか呼ばれる人間を抱えていて、必要に応じてビジネス相手に見えない攻撃を仕掛けるわけだ。彼女は担当者なので、もろに最前線に立たされてしまったんだろう。
さらにかれらの用意周到なところは彼女の野心を巧妙に利用したこと。彼を経由して彼女に邪念の受信機である水晶を贈らせることによって、いざという時のために保険をかけたわけ。もちろん彼は利用されただけで、まさか自分の贈ったプレゼントが念の通り道に使われることになるなんて思ってもみなかったに違いない。でも結局、いちばんの要因は彼女の強すぎる野心がかれらに付け入る目隙を与えてしまったってことなんだよね。
わたしはしばし考え込んでしまった。
相手が悪い。念攻撃を防ごうと思えば、祈祷師同士の力が真正面からぶつかり合うことになる。この場合、こちらの力がよほど相手より勝っていないかぎり一瞬で決着をつけることは不可能だ。
その当時のわたしにはそんな力はなかった。長引けば祈祷師の裏にいる闇組織が動く。浄霊程度ならまだしも、所詮こっちは素人、向こうはプロ。世界が違うのをわかっていて、首を突っ込むほど命知らずじゃない。
唯一いまできることがあるとすれば、ブレスレットを切って浄化したうえで捨てること。
それを彼女に話すと、彼女は首を横に振った。
「もしそうだとしても、彼には言えないです。・・・彼がいやな顔をするのが怖いんです」
彼女がそう言うならしかたない。
わたしにできるのはここまでだ。
わたしは数珠を切らずに、浄化だけして彼女に返した。
とりあえず念の通り道は塞いだので、相手方の祈祷師がそれに気づいて別の方法を使うまではなんとかなるはず。
その後、彼女がどうなったのかはわからない。もしかしたらプロの祈祷師に依頼したのかもしれないし、別の方法をとったかもしれない。どちらにせよもうとっくに時効になった話だ。
日本の裏世界にもプロの呪術師や祈祷師はたくさんいる。かれらは決して表舞台にはでてこない。何でこんな話を書いたかっていうと、普通にヒーラー養成講座やスクールをでてヒーラーになった場合、ほとんどこうしたおどろおどろしい世界の存在を知らないだろうと思うんだよね。
けれど数をこなしてゆくうちに、普通じゃないケースと遭遇する場合もでてくる。そのとき闇の実態を知っていると知らないとじゃ、対処の仕方に大きく違いがでてくる。危ないと思ったら手を引くのが、お互いのためなんだよね。。間違っても素人が手を出しちゃいけない。失うものがあまりにも大きすぎる。
光を扱うのを仕事にしているなら、この世界には間違いなく反対の力も存在しているってことをしっかり認識する必要がある。闇は光の顔をして近づいてくる。そう、ちょうど素人の顔をして近づいてくるプロのようにね。
それを見抜く方法があるとしたら、それは己を知り、謙虚であることしかない。
くれぐれも甘い言葉と美味しい話にはご用心。
2006年2月28日
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Comment
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こんばんわ！ う～怖いですね（＾＾； その彼女はその後どうなったんでしょうね。 私の愛読書には大きな団体には必ず闇のフィクサーがついていると 書いてありました。そりゃそうだろうと思います。 私も自分では無理と思ったら即効引きます。 逃げの小五郎も真っ青ですよ（＾＾；
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作用と反作用ですね。 でも、これ素人が安易にいじると、自己撞着にはまるですね。 玄人は、その原理（中学生の物理で習う程度の知識で十分）を、大事にするということですね。玄人をよそおった素人（ま、詐欺師の系列）は、それを過大評価して、過剰化する。政治も、精神世界も一緒ということでしょうか？ でも、簡単に安易な方向にいきたがるのが、人間の弱さなんですね。これは、古今東西とわないみたいで・・・いや、うちも、その怖さはよーくしっているわけで、その辺を、相互チェックできるかどうか？ もしかすると、これが社会性かもしれませんね。ご健闘いのります。
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みずきさん こんばんは。 ちょっぴり怖い話でしょ。こういう話は必要のない人は知らなくていい事だけど、ある意味世の中の縮図みたいな部分でもあるんですよね。 逃げるタイミングを読むって大事ですよね。 うふふ。
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北岡さん 作用と反作用って表現、わかりやすいです。 政治も見えない世界も、どちらも行使した力の分だけ、良くも悪くも返ってくるという点では同じですね。本当に危ないものは外側にあるのではなく、当人の内側をじわじわと蝕んでいる我欲ってヤツかもしれません。 自戒をこめて、自己を客観的にチェックできる視点をもちたいです。あ、それが難しいから相互チェックなのか？
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念の世界というのは一歩間違えれば命取りになる恐ろしい世界ですよね。
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キョーコさん、こんばんは！ 闇の世界ってあるんですね、勉強になりました。 『作用反作用の法則』って、いいことを描いたり悪いことを描いたりすることでも、必ず影響がある法則だと日頃感じています。 これからもいろいろ教えて下さいね。 話は変わりまして『花粉症』ですが、先日は対処法を教えて頂き有難うございました。 枕を使わないで寝ると、確かに効果がありそうです。 以上、ご報告まで…。
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Mizukiさん そうですね。人間の想念というのは当人が思っている以上に影響力が大きいんですよね。
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KONさん こんばんは。ほんとですね。こういう原理って、日常のすべてに言えることなんでしょうね。ひとつの問題について、別の視点を提示してもらえるのがブログのいいところですね。わたしも改めて考えるきっかけになりました。 花粉症ですが、お役に立ててよかったです。せっかくなので花粉症のスペシャルヒーリングポイントをご紹介します。胸腺・両脇下のリンパ節・脾臓・胃・肝臓の五箇所。それと副鼻腔。ゆったりと自分のペースで呼吸しながら、上記の六箇所を中指の先で優しく触れるだけです。時間は各箇所一分ぐらい。リラックスタイムのつもりで気楽にやるといいですよ。
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キョーコさん、おはようございます。 裏世界。私の好きな天上のシンフォニーという小説にも、こういう感じの出来事 よく出てくるんだけれど・・・ 人間の可能性って、限りないのねぇ・・・！！！やはり。 なんでも出来ちゃうんだ。。 それはさておき、私ね、開運グッズ系の商品、 以前はお勧めされたら、その場のノリでよく買っていたの。でもね、 どう身につけても、どうも違うのよ（笑） で、結局は捨ててしまう。だって、身につけていると、 こうじゃないってわかっているのに、体はそれとは違うことをしてしまう。 それなのに、またお声をかけられると、ついつい買っていたのは、 私の弱い部分に、す～～～っと入ってきていたのかもしれないなぁ。 今はそんなことないんだけどねぇ。怖いよねぇ。 自分の感覚を信じることと、やっぱり謙虚になることって大事だなぁって思った。
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ゆみちゃん おはようございます。 まるで小説みたいなんだけど現実の話。ただ公にはできない話がほとんどなので、表にだせないだけなんだよね（笑）。もっともこれを可能性っていうのかは微妙だけどね（＾＾； 開運グッズは本当に効果のあるものはまれだと思うよ。開運グッズの卸売りをしていた昔の知人の話では、原価数百円の水晶を万単位で売るのはざらだとか。それに開運パワーをいれるのかって聞いたら、まずそんなことしないって言うんだもの（これはあくまで一部業者の話で、すべてがそうだと言うわけではありません）。 そのあたりをゆみちゃんの感覚のほうはキャッチしていたのかもね。
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こんにちは、偶々辿り着きました。興味深く読ませて頂きました。触らぬ神に祟りなしっていうか、力の違いがあると逃げるしか無いですね。また寄らせて頂きます。ありがとうございました。
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てんちゃんさん こんばんは。遊びにきてくださってありがとうございます。 触らぬ神に祟りなしって、そのとおりですね（笑）。自分の力量を客観的に眺める視点は必要ですよね。またいつでもいらしてください。