感謝 出雲
最近、わたしは本当にひとに恵まれているなあとつくづく思う。
先日出雲に行ったときも、二日目は観光タクシーをお願いしたんだよね。自分が車を運転できればなんの問題もないんだけど、免許をもっていないので交通手段はバスか電車になる。ところが旅先で、どうしてもここだけは行きたいという場所をピックアップしていくと、けっこう距離が離れていたりして、バスの接続のタイミングが合わないことが多い。
今回も出雲國一の宮の熊野大社と美保関にある美保神社、それにできれば須我神社に行きたかったんだよね。バスの時刻表とにらめっこしたけど、時間的に苦しい。それなら観光タクシーを一日借りてしまったほうがいい、というわけでホテルでタクシーを呼んでもらったわけ。
呼ばれたタクシーの運転手さんはわたしより年配の女性だったんだけど、島根の歴史や観光名所にとても詳しい方だった。タクシー会社に連絡した時点で行ってほしい場所を指定したんだけど、どうも熊野大社・美保神社・須我神社の組み合わせは、よほどの歴史の通じゃないかぎりまずないんだそうだ。
いや・・・歴史通じゃなくて、たんなる直感なんだけど、向こうはそうはとらなかった。
会社のほうは寺社仏閣の歴史にとくに詳しい方をよこしてくれたんだよね。それが今回の運転手さんだった。
熊野大社、八重垣神社、神魂神社、美保神社をまわったあと、運転手さんが須我神社を須佐神社だとすっかり思い込んだおかげで、佐田町にある須佐神社まではるばる足を運ぶはめになった。三刀屋を越えたあたりで勘違いに気がついたけど、ここまで来たらもう30分も走れば須佐神社だ。これも何かの縁と思うことにした。
ところが現地に行ってみると、結果的に須佐神社に行く必要があったということが判明。
朝から一日つき合ってもらって、夕方出雲空港に送り届けてもらったときには、運転手さんと涙のお別れをしてしまったんだよね。女性同士というのがあったにしても、それだけ三者三様濃い時間を共有できたわけで、本当にありがたい。
10年前のわたしだったら、こんなふうにひとと接することはできなかった。心を開いたのはいいけど否定されるのが怖くて、ガチガチにガードをはっていたんだよね。だからむかしは素の自分がだせなかった。
原因はいろいろあるけど、ひとつには霊能が大きく関係していたんだと思う。
前にも書いたかもしれないけど、霊的な力っていうのは、わたしにとっては特殊なものではなくて、本を読むとか、ご飯を作るとか、何かを考えるといったごく普通の能力のひとつとしてある。
誰でもそうだけど、物事を考えるときって、日常の中で取り入れたり経験したりするさまざまな出来事を総合して自分なりに答えをだしてゆくよね。だから霊能で感知したこともデータのひとつとして活用してゆくのは、いってみればあたりまえなんだよね。ところが霊能から得るデータはあまり一般的ではないために、導き出した結論が微妙に、あるいは大きくひとと違ったりすることが多かった。
むかしはそれほどしっかりした自我があったわけじゃないから、異質だと思われることが精神的に大きな痛手になっていたんだよね。自分を世間の常識の枠にとじこめて生きようとすれば、いずれ犯罪者か精神科のお世話になるしかない。自分の考え方は一般的に通用しない。それだったら霊能を使った占いや絵・小説といった分野で生きるしかないと思っていたんだよね。
そんなときサイコシンセシス（統合心理学）に出会った。
サイコシンセシスでは霊能を魂の成長過程のひとつとしてとらえ、そのプロセスを事細かに論理的に説明している。
それはわたしが日頃から考えていた事とまったく同じだった。
100年近く前に生きたイタリアのロベルト・アサジョーリという学者の考えだした論理体系と、自分が短い人生経験の中でたどりついた答えがまったく同じだったことを知ったときの衝撃は大きかった。
そしてわたしはサイコシンセシスの国内第一人者である伊藤氏の門を叩いた。
セッションの中で使っている方法の論理的な裏づけが欲しかったのと同時に、自分のこれまで学んできたことが世間一般にどこまで通用するのか確かめたかったという思いもある。けれどほんとうは、霊能もふくめて、わたしがわたしでいてもいいと誰かに言ってほしかったんだよね。
それからいろんな人と接するなかで、いつのまにか自分が自分でいることがあたりまえになっていた。息をするのと同じように、自分の感じたことを素直にひとに話せるようになった。わたしが周りの人たちに心を開けるようになってゆくにつれて、すこしずつ周りもわたしを受け入れてくれたんだと思う。
さまざまな出会いと別れを繰り返しながら、多くのひとに支えられて、いまここにいる。
出雲で出会ったタクシーの運転手さんが別れ際、泣きながら言ってくれた。
「今日はほんとうに、心からやりがいのある仕事でした。ずっと忘れていたけれど、これが自分のほんとうにやりたかったことだったのを思い出しました。また出雲に来てください。そのとき、もっともっといいガイドが出来るように勉強します」
ありがとうございます。
タクシーに乗って、こんなに泣いたのははじめてだよ。
人間って、やっぱりすごいよね。
2006年12月1日
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Comment
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否定をされるのが怖いですか・・・ キョーコさんみたいな方もそう思っていらした事を知り、勝手な言い方ですが、そう思っているのは自分だけでないとわかりすごく安心しました。 私は先日両親から拒絶されました。多分勘当されると思います。 理由はわかりません。聞いても答えてもくれません。 思い当たる事は、私が外国人と付き合っていて、結婚したいと言った事だと 思います。 拒絶された当初はとても寂しくて心が痛かったです。 幼い頃、いい子にしていないと怒られて叩かれた事を思い出しました。 特に母親から無視された事がフラッシュバックの様に思い出され、 母が冷たく私を見る目を思い出しました。 母に怒られると舌の根が凍り何も言えなくなることを思い出しました。 今は心が痛いと言うよりも、 「なぜ大人になった今も両親からの拒絶はこんなに心が痛いのだろう」 と不思議でなりません。
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先日はありがとうございました（＾＾） 人は生まれてくるときも死ぬときも一人なんだけども だからこそ生きている間に出会える人を大切にしたくなるのだな～ と最近良く思います。 出会ってくれた人たちに、出てくる言葉、 やっぱりありがとうですね。キョーコさんにも、ありがとうです♪
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日々寒さが増すなか、とても心があたたかくなりました（＾v＾） 素敵な出会いですね。 タクシーの運転手さんが本当にやりたかったことを思い出せたのはよかったですね。 キョーコさんが無意識に運転手さんにカウンセリングしていらしたのかな？（＾＾） ほんとに人間ってすごいですね。感動いたしました。ありがとうございます。
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ご無沙汰しております。久々の投稿です。でも、いつも記事読んでますよ!ごくたまに、素晴らしい出会いと別れはありますが、大人になってからは泣ける様なのは経験した事がありません。うらやましいですね。やはり、人生、出会いと別れにつきますね。出会いがあるから豊かになるし、別れがあるから賢くなると思います。ではまた。
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初めてコメントさせて頂きます。いつもブログの方を楽しみに読ませて頂いていました。 今回の出雲のご訪問がとても有意義だった事、島根県出身の私として嬉しく思いました。 感動が涙で表れるほどの出会い、そして人との触れ合い、本当に素敵ですね。 そして、これまでのキョーコさんのいきさつを素直に書いて下さってどうもありがとうございます。自分自身が自分自身でいいと気がつくまでは、いろんな過程がありますよね。 素の自分が出せるというのは、本当に素敵な事です。 ありのまま、ありのまま。
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たとえば、誰かと喧嘩した時、本屋で何気なく手に取る本は、「相手の気持ちを考えよう」の本。つらい思いをしてる時、「元気になろう」の本に出会えます。人との出会い、音楽との出会い、本の中の一言の出会い、動物との出会い、その中でも一番難しくて感動するのが、人との出会いでしょうか。
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柴犬さん >そう思っているのは自分だけでないとわかりすごく安心しました。 いまでは懐かしい思い出ですが、うんと若い頃、生きるのが苦痛だった時期があるんですよ。 そういう経験があるからこそ、カウンセラーという仕事をしているんだと思います。 柴犬さんもいつか振り返ったとき、あのときはああだったなあと思える時期がきっときますよ。 ゆっくり歩いていきましょう。
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michiさん 先日はおつかれさまです。 >人は生まれてくるときも死ぬときも一人なんだけども だからこそ生きている間に出会える人を大切にしたくなるのだな～ ほんとですね。 年を経るごとに肩の力が抜けて、ひとを受け入れる閾値が低くなっていくんですよね。 わたしもmichiさんに勇気をいっばいもらっています。 いつもありがとう♪
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amさん 日増しに風が冷たくなってきますね。 >キョーコさんが無意識に運転手さんにカウンセリングしていらしたのかな？（＾＾） いいえ。そうじゃないんですよ（笑）。 絶対にここに行きたいというわたしたちの我ままに運転手さんが精一杯応えてくれただけなんです。 そして行った先で、ふたりともその場の空気や景色を味わいながら心から楽しみました。 今回の旅は観光だけではなく、とても真剣な部分もふくまれていたので、向こうも本気になって付き合ってくれたんですよ。 それが彼女の心のなかの何かを動かしたんだと思います。 ほんとに人生っておもしろいです。
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R.F. さん いつもありがとう♪ 50を過ぎて、自分の人生はまだ何かやれると思いながらも、道を見失いかけていた方が、私達の我侭だけど真剣な希望をかなえようと尽力しているうちに、彼女のなかで何かが抜けたんだと思います。 ひとのそうした瞬間に立ち会えることって、そう何度もあるものではないですものね。 ありがたいですね。
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yuki さん はじめまして。 いつもありがとうございます。 yukiさんは島根の方なんですね。 海と山と温泉があって、食べ物も美味しい。 そしてなによりも ひとの心の温かさが身にしみた旅でした。 むかしの自分の話がなにかの役に立てばと思っています。 最初から成熟した人間はいないものね（笑）。
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ねねこさん こんばんは。 そうですね。人との出会いほどスリリングで、感動するものはないですね。 やっぱり人間はおもしろい！ のひと言に尽きますね。