サイモントン療法についての考察 3 「根底のビリーフ(ストッパー)への気づきと癒し」
サイモントン療法についての考察 3 「根底のビリーフ(ストッパー)への気づきと癒し」 2013年4月4日
サイモントン療法の参加目的の二つ目の課題について。
②の自分自身のこれまで積み上げてきた実績や社会的立場にこだわらず、あらゆるものから学びを吸収できる柔軟性を育てる。
これについても思った以上に柔軟な自分を発見した。さらに期間中、自分の中の根深いビリーフに気づくきっかけとなった出来事もあり、とても大きなギフトをもらった。
子供の頃「親しい人の期待に応えなければ存在する価値がない」「~する能力がなければ、存在する価値がない」というビリーフを持っていた。そのビリーフは人生の大事な場面になると必ず姿を現し私を悩ませ続けてきた。20歳の頃にそんな自分のビリーフに気づき、少しずつ思考と行動を変えることで意識化できるレベルでの上記のビリーフは解消されていった。50歳を過ぎた頃には、こうしたビリーフの影響はほとんどなくなっているように感じていた。
ところが今年に入ったある日のこと、0歳のわたしが母親自身の苦悩を無意識に感じ取り、自分は母親に拒絶されていると受けとっていたことに気づいて愕然とした。
その非言語でリアルな肌感覚は私の無意識の奥深くに刻まれ、「自分には存在している価値がない」というビリーフを形成していた。ときおり他者から理不尽な批判を受けると、自分の過去の努力を否定されたように感じるという形で私の思考回路に影響を及ぼしていたのだ。
根底のビリーフに気づいた瞬間、私は「自分には生存している価値がない」と感じている0歳の赤ちゃんのわたしを心の中で胸に抱きながら「あなたには十分に価値があるよ。あなたがいたから生きてこられた。ほら、ひとりじゃないでしょ? 私がそばにいるよ」と無言で伝えた。0歳のわたしが安心したのが伝わってきた。ふと気づくと他者の理不尽な批判はまったく気にならなくなっていた。
0歳のわたしにとっては私を批判する他者は母親そのものであり、一般化された他者は母親の投影にほかならない。0歳のわたしは母親に存在の許しを得たかった。だからこそ私はそれを投影した他者の評価に反応していたのだ。
ところがそれに気づいた瞬間、心の深いところからわたしはここにいてよいという思いが湧き上がってきた。サイモントン流にいうなら、一瞬にしてものすごく深いビリーフワークが行われたということだ。五か月間プログラムを受講する目的のひとつは柔軟性を育てることだったが、この出来事によってさらに思考の柔軟さが増し、実際の言動に即反映されているように思う。
人生は本当に面白い。
そして人間の心は本当に深い。きっと一生をかけて本来の自分に還ってゆくのだろう。私たちは誰もがそのプロセスの途中だ。そもそも本来の自分すら存在しないのかもしれない。
わたしは今年の1月で51歳になった。目の前のクライアントと向き合う時、そのひとがこれまで重ねてきた月日の重さと、自分が51年と数か月を生きて、いまここに存在していること、それがすべてだ。
サイモントン療法の認定カウンセラーを育成するシステムにはまだまだ課題も多いが、それはどの組織も抱えている課題でもある。癌というエマージェンシーに特化した心理療法として大きな可能性を持っているサイモントン療法の今後のさらなる発展を期待したい。
最後に二度の受講期間中、素晴らしい機会をくださったトレーナーおよび事務局のみなさま、学びをともにした素晴らしい仲間たちにあらためて感謝の意をお伝えしたい。本当にありがとうございました。みなさまの愛と叡智を実践する姿を通して、たくさんの学びをいただきました。そしてそんな仲間たちの愛と叡智を受け取ることのできる自分自身であることに喜びと誇りを感じます。
(了)
2013年4月4日
【サイト内参考記事】
・サイモントン療法についての考察 1「認知行動療法とサイモントン療法の関係」
・サイモントン療法についての考察 2 「ワークの最中に起きている深層の動き」
・サイモントン療法についての考察 3 「根底のビリーフ(ストッパー)への気づきと癒し」
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