先週末、友人たちと4人で丹沢の塔ノ岳を登ってきた。
予報では晴れだったはずなんだけど、午後になって急に霧がでてきたなあと思ったら雨がぽつぽつと降りだした。雨はまたたくまに土砂降りにかわった。
じつはこの日は初心者の友人二人のための白山登山向けトレーニング登山だった。彼女たちにははじめての山ということで、大幅に時間がかかるのを考慮して塔ノ岳山頂での山小屋一泊登山という余裕をもった行程だった。
そんなわけで登りはリーダーの相棒が最後尾について、先頭はいちおう経験のあるわたしというスタイルをとっていたんだよね。
雨のなか黙々と歩く。
やがて鎖場が見えてきた。
ふだんならなんでもない鎖場も土砂降りの雨のなかだと勝手が違う。着地点を確かめようと思って下をのぞいてみると、オーバーハング気味の岩の下は雨と霧におおわれてミルク色のもやがあるだけ。
こっ・・・こわい!
鎖場で足が震えたのははじめてだ。
どう考えても先に進むしかない状況なわけで、意を決して岩を下りる。ステンレスの鎖は握ったとたん、雨でずるずるすべる。
ひぇ〜〜〜〜〜。
平静をよそおいつつも、自分で顔が引きつっているのがわかる(爆)。なんとか無事着地して、ほっと安堵しつつ、後続の友人たちに下から安全なルートをアドバイスする。
途中であばら家同然の避難小屋を見つけた。破れた屋根から雨が落ちてきたけど、ずぶぬれになるよりはずいぶんましだ。
先客のちいさな男の子を連れた大人3人のパーティーに挨拶して雨具を着る。着替えが終わって、ふと見ると男の子が寒さで震えていた。一緒にいるのは父親とおじいちゃんとその友人(?)らしい。
思わず声をかけた。
「ぼく、いくつ?」
「六歳」
「お名前は?」
「りゅうせい」
雨に濡れて体温が下がっているらしく、ちいさな体が小刻みに震えている。
「チョコ食べる?」
りゅうせい君は素直にうなずいて、ちいさな指でホワイトチョコをつまんだ。背中をさすりながらいろいろ話をする。体温低下を防ぐために友人の予備のウィンドブレーカーを着せる。
りゅうせい君もだんだん打ち解けてきて、三個目のチョコを食べつつ、マジレンジャーの話で盛り上がる。元気になってきたみたいだ。よかった。
外を見ると、いつのまにか雨が上がって日がさしていた。りゅうせい君たちのパーティーはひと足先に出発。わたしも余ったチョコをほおばりつつ外にでようとしたら、友人が声をあげた。
見ると、目の前に大きな虹が架かっていた。
あとで聞いた話によると、この日は隣の尾根では降っていなかったという。
ここだけか???
友人が「この雨は誰のせい?」と言って、わたしの顔を見ながら笑っていた。
ようやく山頂に到着。
山頂の山小屋で宿泊手続きをしていると、山小屋のおじさんに荷物を預かっていると言われた。さっき雨宿りした避難小屋でりゅうせい君に貸したウィンドブレーカーだった。ふと見ると、メモがはさまっていた。
そこには大人の筆跡で数行のお礼。そしていちばん最後つたない子供の字で名前が書いてあった。
雨の中での先頭役で自分で思っていたよりずっと緊張していたのかもしれない。なんだかその字を見たらほっと気が緩んで、あたたかいものが胸にひろがった。
お礼を言うのはわたしのほうだよ。
ありがとう。