生きる
友人がヴォイストレーニングに興味があるというので、先日いつも通っているスクールの体験レッスンに行ってきた。
彼女を担当してくれたのはオーナーの先生で、わたしにとっては彼のレッスンを受けるのは四年前の体験レッスン以来のことなんだよね。内容はヴォーカルにとっての複式呼吸の意味と実践、リップロールといった初歩的なもの。
簡単な説明のあと、先生がギターに合わせてリップロールをはじめた瞬間、頭をガンと叩かれた気がした。
唇をふるわす音と同時に、「うー・・・」というかすかに聞こえる旋律。ほんとうにかすかであるにもかかわらず、どこまでも伸びる透明な声。それはわたしが毎回レッスンでやっていたリップロールとはまったく別次元のものだった。
リップロールであんな音がでるなんて・・・・。日頃のレッスンでわたしは何をやっていたんだろう。このところなんとなくある程度やったからもういいかなと思っていたけど、冗談じゃない。自分の未熟さをいやというほど思い知らされた。
いま思うと四年前、ヴォイストレーニングを始めた頃はこんな音の違いすらわからなかった。ああ・・そうか。喉ができてきたからこそ、この微妙な違いがわかるまでになったんだ。
地道な日々の練習を丁寧に積み重ねてゆくことで、まちがいなく得るものがある。わたしなりの速度でしかないけれど、それはたしかな手ごたえとして感じる。歌だけではなく、人生も同じなのかもしれない。
思えば昨年夏頃からプライベートのほうは激動だった。あの頃はありえない偶然が次々と起きるなか、抗いようのない力に動かされるまま必死で生きていた気がする。
どうして? なぜ? 渦中にいたときはそう思っていたけれど、いま思うとそれは必然だったのだと思う。ひとりのひとと長い年月をかけてともに生きるなかで、きちんと自分と向き合ってきたからこそ、自然にそれぞれの生きる道が拓けてきたのだといまならわかる。
そんな日々のなかで相手のありのままのすべてを認めることができた瞬間、はじめて本当の彼自身と出会えた。二十年間ともに過ごした日々のなかではけっして見えなかったもの、許せなかった相手のすべてを認めて受け入れている自分がいた。
わたしはわたしで、あなたはあなたで、それ以上何を望むだろう? そう思えたとき、心から感謝の思いがあふれた。
出会えたことや一緒に過ごせたことはまるで奇跡だと思えた。
同時にこれまでおたがいの違いをとおして、たくさんのことを学んできたけれど、それも卒業の時期なんだなと思った。彼もわたしもおたがいに交わることのない、自分の道を歩きはじめるのだろう。
ひととして自分自身に正直であること、なによりも相手と自分自身の魂に誠実でいようと思った。それが依存でもなく、執着でもない、二十年間一緒にいたひとへのわたしにできる精一杯の誠意だと思ったから。
そしてわたしのなかで彼と過ごした時間が終わった。
誰もが永遠に続く道の途中なのだろう。
愛や憎しみやむなしさや孤独、それすらも生きるという時間のなかでなんて愛しいのだろう。ときには愚かで臆病だったけれど、それでも精一杯生きてきた。
長い年月をかけて取り組んできたひとつのテーマが終わったとき、目の前に新しい道があらわれた。
それはわたしがこれまで知らなかったまっさらな道。
いま新しい人生を楽しんでいる自分がいる。
もっと真剣にレッスンに取り組もう。
先生のように透明な、どこまでも通る声をだしたい。
田んぼの企画も進行中だし、そろそろ夏の白山登山のトレーニングも開始したい。
毎日がわくわくに満ちている。
けれどほんとうに大切なのはいま生きていることそのもの。心の奥から満ちあふれてくる愛しさや友人たちの優しさ。当たり前の日常の、そのどれもがなんてかけがいがないのだろう。
ひとは誰かとかかわりなしには生きられない。
誰もが誰かを愛し、ときには誰かを傷つけながら生きているんだよね。
わたしの「いま」がそうした日々の積み重ねなのなら、精一杯いまを生きてゆこうと思う。
ひとである痛みも喜びもしっかりとこの手で受けとめて。
この記事へのトラックバックURL
http://app.blog.livedoor.jp/kurama17/tb.cgi/51516289
キョーコさんの新しいスタート陰ながら応援してます
いつも一歩踏み出す勇気をありがとうございます。
ふみちゃん
ありがとう〜♪
こんなことがあって思うのは、いつもわたしはまわりのみんなに助けられているなあってことかなあ。
感謝☆
なんか胸がいっぱいになっちゃったです。
キョーコさんから発せられる「生きる」という言葉が
ズシっと響いてきて。
さーーーーて私も!
いつもパワーをありがとうございます。
ゆみちゃん
おはよ〜♪
うん。ありがとう。
友情と信頼を残したままの卒業離婚(こんな言葉あるのかなw)なので、いろんなことがすとんと落ちて納得しているの。
別れてみて、あらためて本当に21年間いい時間を過ごしたなあというのが正直な気持。
そのうえでそれぞれ自分の道を歩こうよってな感じかな。
うふふ。
すべてがシンクロして、結果的にみんなが笑顔になれる離婚もあるんだなあというのが新発見かな。
キョーコさん
こんばんは。
お二人の門出ですね!渦中にいらした時の心中お察し致します。
そんな中私のセッションをありがとうございます。
でも、以前キョーコさんがおっしゃった通り男女関係を通して友情
という形に熟成されたのですね。
お二人の未来が明るいものになりますように、心から心からお祈り申し上げます。
柴犬さん
おはようございます。
>そんな中私のセッションをありがとうございます。
いいえ。お礼を言うのはわたしのほうです。
セッションといえどもベースは人間同士の交流です。
毎回セッションのたびに、柴犬さんの痛みや生きようとする姿がまっすぐ心に伝わってきました。
そのたびにわたしもまた自分自身を振り返り、多くの気づきと学びをいただきました。
だから毎回、最高にいいセッションだったでしょ?
心から感謝しています。
>以前キョーコさんがおっしゃった通り男女関係を通して友情
という形に熟成されたのですね。
はい。歩く道があまりにも違い過ぎたので結果的に別れを選択しましたが、もしも道が同じ方向だったら最高のパートナーになっていたかもしれません。
これからは同じこの星に生きる仲間として彼を応援したいと思っています。
いつもありがとう。
キョーコさん、新しい道を生きるのですね。
応援しています。
キョーコさんにはお会いしたことはないのですが、勝手ながら何かつながっているような感じがします。
わたしも新しい道を歩む準備をしています。
怖くなってマイナスになったりもしていますが、ゆっくり前に進もうと思います。今ここを生きることしかないのですよね。
キョーコさんからエネルギーをいただいている気がします。
遠いのでセッションを受けることが難しいですが、きっとそのうちチャンスが来る気がします。
ようこさん
こんばんは。
応援ありがとうございます。
なんだかうれしいです。
>わたしも新しい道を歩む準備をしています。
そうでしたか。
きっとみんな無意識のレベルで繋がっているんですよね。
>怖くなってマイナスになったりもしていますが、ゆっくり前に進もうと思います。今ここを生きることしかないのですよね。
そう思います。
迷いや不安があるときは、それをじっくり感じて自分を抱きしめてあげましょ。
ようこさんのペースで歩いてゆけば、きっと道が開けます。
ようこさんが心から納得できる道を歩いてゆけるといいですね。
心から応援しています。
キョーコさん
おはようございます。
ありがとうございます。
とっても心強い言葉でとっても嬉しいです。
不安や恐れをもっている自分を抱きしめることから逃げてしまうと、もっと不安で怖くなります。
わたしはわたし。わたしのペースで生きていけそうです。
ようこさん
がんばってね。
わかりすぎてしまいます。
随分前からそこが私にも共鳴していたんだな・・
さて〜ほんとうの赦しができた時に わたしはどう生きたいですね
ありがとうございますキョウコさま・・ほんとうに。
いつかお会いしたいな。
メイさん
こんにちは。
>随分前からそこが私にも共鳴していたんだな・・
うふふ。そうでしたか。
ひとそれぞれ使う題材は違うけれど、じつは普遍的なテーマなのかもしれないですね。
>ありがとうございますキョウコさま・・ほんとうに。
>いつかお会いしたいな。
はい。わたしもです。
東京に遊びに来るさいはぜひ声をかけてね。
はじめまして^^
偶然、こちらにお邪魔し、このブログを読ませていただきました。
実は私も結婚21年目で、婚姻関係を解消することにしました。
先日はんこを押すまでにおおよそ2年かかりました。
特に何があったワケではなくて、キョーコさんの言うとおり、進む道がお互いで違ってしまったので「あなたはあちらですか?私はこちらに行きますから。では」みたいな感じです。この話が出たときは、いろいろな感情が交錯してかなりつらい時間を過ごすことになりました。でも、心を覆うものを一枚一枚丁寧に時間をかけて剥がしていったら、キョーコさんのように相手に対する感謝の気持ちが出てきて、今は彼の将来が輝いたものになるように、心底願える自分がいます。
なんて自分のことばかり話してごめんなさい。
あまりにも似た状況でついコメントをしてしまいました。
お互いに、これからの人生が素晴らしいものになりますように♪
たけさん
はじめまして。
遊びにきてくださってありがとうございます。
シンクロしていますね。
別れから学ぶものはとても大きいし、そこに愛があるならなおさらのこと。
わたしの場合はおたがいが自分の人生を歩むために、愛情があるからこそ離婚を選びました。
おふたりがそれぞれの道を精一杯歩いてゆけますように。心からお祈りしています。