2006年08月07日

世界はファンタジーに満ちている

 さて沖縄の話題はしばしお休み。
 昨夜『ナルニア国物語』のビデオを見たんだけど、これがなかなか感動ものでした。
 『ナルニア国物語』などのファンタジーにかぎらず、観る者の心に響く物語には共通点があるんだよね。

 なんだと思う?

 それはすべての人間の心の中にある普遍的な物語を描いているってことなんだよね。『スターウォーズ』も『ビバリーヒルズコップ』も『千と千尋の神隠し』も『オズの魔法使い』もあらゆる神話も、人間の深層心理の中に存在する物語であるという意味では基本は一緒。古今東西、次々と生み出される物語はすべてこの基本形のバリエーションだと言えるんだよね。

 普遍的な物語とはなんだろう?

 多くの冒険物語の中で、主人公はある日突然住み慣れた日常を離れ旅にでる。

 そう冒険の始まり。

 けれどこの段階では嬉々として冒険に進んでゆく主人公は少ない。たいていの場合、冒険に対する恐怖や迷いを感じるんだよね。『ナルニア国物語』の主人公たちは英雄になるよりも兄弟四人で無事家に帰ることを望んでいたし、『スターウォーズ』のルークは最初はオビワンの誘いを断る。

 なぜだろう? 

 それは変化に対する恐怖なんだよね。
 いまが幸福であれ、不幸であれ、それまで続いてきた日常が変わってゆくことに対して、人間は本能的に恐怖を抱く。未知のものに対する恐怖と言い換えてもいい。これはだれもがもっているごく当たり前の感情なんだよね。ひとたび冒険にでれば命がけだし、これまで築いてきたものを失うかもしれない。あるいは自分がこれから成し遂げようとしていることの困難さを思えば気持ちがすくむのも当然なんだよね。
 
 主人公が躊躇している間に、まるで強引に主人公を冒険の旅に引きずりこもうとするかのように事態は悪化してゆく。やがて主人公は観念して、あるいは決意して冒険の旅に踏み出してゆく。

 冒険の中で主人公はさまざまな試練に立ち向かう。
 そして生死を賭けた最大の試練を乗り越えて宝物を手に入れ、ふたたび元の自分の世界へ戻ってゆく。
 けれど旅の前と後では、主人公は精神的に大きな変容を遂げている。

 これが普遍的な物語の骨組み。
 じつはこれは人間の精神の成長のプロセスと同じなんだよね。

 わたしたちの日常生活の中には魔女も英雄もでてこないって?
 
 そんなことはないよ。
 日々の出来事の中で、それはいやな上司や仕事上のライバル、あるいは反りの合わないお姑さんといった姿で現れる。けれど本当の魔女や悪役はわたしたちの心の中にいる。ライバルの姿をとおして、わたしたちは自分自身の心の中にいる魔女を見ているんだよね。

 ひとは誰でも生きてゆくうえでさまざまな恐怖や不安を心の中に抱えている。それはいっけんネガティブな感情に見えるよね。でもじつはそういったネガティブな感情はとても大きな可能性を秘めているんだよね。

 たとえば『ゲド戦記』の主人公アレンは生きることが怖いと思っている。あるいは『ナルニア国物語』のエドは最初は兄に反発していたけれど、やがてそうした自分自身を受け止め成長してゆく。

 こうした優れた物語を書けるのは、作者が自分自身の心の奥にある恐怖や嫉妬といったネガティブな感情を知っているからなんだよね。音楽や芸術もそうなんだけど、ネガティブな感情は創造の原動力になるんだよね。

 物語の中では主人公は象徴的に魔女や悪役と戦うけれど、実際に心の中では次のような変化が起きている。
 魔女に象徴されるネガティブな感情の存在を認め、受け入れてゆく中で、それらの感情は消化され、やがてより普遍的な力へと昇華されてゆくんだよね。

 これは芸術や音楽にかぎらない。
 あたりまえの日々の生活のなかでネガティブな感情を受け入れ、それも自分の一部だと認めてゆくうちに、そうした感情は何かを生み出す大きな原動力になってゆく。
 それは商品のアイデアとして生かされるかもしれないし、身近な人間関係をより豊かなものにする力として発揮されるかもしれない。あるいはより自分らしい生きかたへシフトする原動力になるかもしれない。

 愛も叡智も恐怖も不安もすべてをもっているのが人間。
 だからこそ人間は世界そのものであり、かぎりない可能性をもっているんだよね。

 成長のプロセスを歩み始めたとき、自分の内側にあるネガティブな感情にきっと気づく。
 そのときあなたは『あなたという物語』のなかのヒーローだよ。
 身近な誰かがヒーローを導く賢者の役割をしてくれるかもしれないし、あなたの内側の叡智があなたを導いてくれるかもしれない。
 変化にともなう恐怖やさまざまな試練が襲うかもしれない。
 けれどそのプロセスに身を任せるなら、きっとあなたは魔法の世界から宝物をもって日常の世界に戻ってくるよ。

 人生はひとつの物語。
 そしてその物語の中には、さらに無数の章がある。
 あなたはいまどの章にいるだろう?
 
 ほら耳を澄ませば、冒険へと誘う声が聞こえてくる。 

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この記事へのコメント
とすると、自分の中にもとにかく、いろんなキャラを持った登場人物が住んでて、言ってみれば、1つの自分だけの、オリジナルファンタジーの世界を、日々、創作しているようなものですね。自分の中のとんでもなくイヤな魔女も、私のパワーの大切な一部なのだということが、ちゃんと向き合ってみて、初めて分かりますものね。ふ〜む、、考えさせられます。
Posted by aya at 2006年08月08日 03:29
ayaさん

そうですね。魔女は本来悪でも善でもないのですよ。ただ物事を具現化する力をもっているだけです。最大の敵は最大の味方。魔女の本来の個性を生かすことができれば、それは心強い仲間のひとりとして力をかしてくれるでしょうね♪
Posted by キョーコ at 2006年08月08日 20:53